ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、関西マスターズゲーム2021などに向け、文部科学省が中心となった官民一体のキックオフイベント「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」が今秋開催される。フォーラムに協力するパートナー企業である3社が、同フォーラムへの参加意義を語り合った。

━NEC、ANA、アシックスジャパンの各社は、「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」に協力する企業。ふだんの企業活動の中で、スポーツ・文化にどのように関わっているのだろうか。ふだんの各社の取り組みを軸に、鼎談はスタートした。

NEC
東京オリンピック・パラリンピック推進本部 2020推進室
青木一史 マネージャー

青木(NEC) 当社は、ICTを用いて社会に不可欠なインフラシステム・サービスを高度化する社会ソリューション事業に注力しています。多くの人が訪れるスポーツや文化イベントにおける安全・安心の実現もその一つです。例えば、イベント会場の入退場管理や大会のセキュリティ管理など、ICTを活用したパブリックセーフティの実現を通してスポーツ・文化イベントを支えています。また、社内にはラグビーや女子バレーチームがあり、オフシーズンには、選手が学校や公共施設などで行われるスポーツ教室にも参加しています。さらに障がい者スポーツ分野では車椅子テニスを20年以上支援しています。

乾(ANA) 私共は、航空輸送の企業として選手が国内外へ遠征する際の移動のお手伝いはもとより、アスリートを社員として採用するなど、雇用面からも支援を続けています。女子7人制ラグビーの横尾千里選手、障がい者水泳の津川拓也選手は、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの日本代表です。また、障がい者水泳連盟やブラインドサッカー協会など障がい者スポーツへの支援も積極的に行っています。文化面では機内誌、機内食などを通して日本の多様性をご紹介しており、特に全国の特産品を使ったメニューや日本酒を味わって頂く「Tast of Japan」という企画は、海外のお客さまにも大変好評です。

ANA
企画室 企画部 事業推進チーム
乾 元英 アシスタントマネジャ

松下(アシックスジャパン) 当社はスポーツ用品の製造・販売が生業であるため、スポーツマーケティングを通して、選手や各種の団体や連盟を直接的にサポートしています。具体的には選手のパフォーマンスを上げるための製品を供給しています。またリオのオリンピック・パラリンピックではJOCおよびJPCのゴールドパートナーとして、デレゲーションウェア(大会派遣選手団向け公式ウエア)を供給しました。

━このように、普段からスポーツ・文化に積極的な企業姿勢がみられるが、2020年に向けて、従来の取り組みをどう発展させていくのだろうか?

 

アシックスジャパン
松下直樹 取締役

松下 東京オリンピック・パラリンピックに向けては、選手をサポートするために、最先端のテクノロジーを整えた施設づくりや、世界から訪れる関係者のためのホスピタリティを重視しています。ラグビーワールドカップでは、オーストラリアや南アフリカの代表が契約チームなのでそのサポートを、関西ワールドマスターズゲームズは、グループ本社が神戸にある当社にとっては地元での開催なので、シニアスポーツを盛り上げていきたいと思います。

青木 スポーツ・文化イベントをICTで支える実績を、特にイベントの安全・安心をICTで支える実績を、地道に重ねて行くことを大切に考えています。また、松下さんもおっしゃっている通り、2020年に向けてはホスピタリティが重要だと当社も考えています。そのために、まずはおもてなしができる人材を育成することが課題だと考えています。そして、NECが長年支援してきた車いすテニスをはじめとする障がい者スポーツに対して、社内での理解はまだまだ不足しているという点も課題で、今後より多くの社員が積極的に観戦に行く機会を作っていきたいですね。

 まずは社員がアスリートや障がい者スポーツを含めたさまざまな競技を身近に感じられる環境をつくることを考えています。例えば今年から、ブラインドサッカーという競技の体験を、視覚に頼らないコミュニケーションやチームビルディングのための研修プログラムとして導入しました。そうした取り組みは、障がい者スポーツの魅力を伝え、社員がファンとしてアスリートを応援し、試合会場へ積極的に観戦に行く動機づけにもなるのではないでしょうか。また同時に、さまざまな国籍、文化、宗教、障がいの有無など多様性を持つ人々へのサービスや、ホスピタリティの向上にもつながると思います。