地震や大雪などの災害への備えとして、世界初の大型リチウムイオン蓄電池を搭載した非常用電源が注目されている。使い勝手のよさから非常時のバックアップ用だけでなく、平時のビジネスや暮らしにも広まっていきそうだ。開発のキーマンは異色のベンチャー起業家。開発の端緒となった地球環境問題への思いや、今後の可能性、展望について聞いた。

大地震などの非常時に
活躍する蓄電池を

エリーパワー 吉田博一代表取締役社長

 地震や停電、近年頻発するゲリラ豪雨による水害といった都市災害時には、オフィス内の非常用電源の確保が欠かせない。

 オフィスのデジタル化、ネットワーク化が進展した現在、災害によってパソコンやその周辺機器、携帯電話などの使用が中断されれば、重要なデータの管理や日常的な情報伝達に支障を来すだけでなく、従業員の安否確認にも手間取ってしまう。企業の事業継続のためには、まず経営者が「都市災害への備え」を意識する必要がある。

 エリーパワーが開発し、今年度法人向けにリース販売を開始した「パワーイレ」は、重量約62キロとコンパクトなサイズながら、合計2キロワット時の大型リチウムイオン蓄電池を内蔵する、世界で初めての新ジャンルの非常用電源だ。

 通常のAC電源からの充電のほか、太陽光パネルで発電した電力を充電することも可能。蓄えた電力は、停電時にOA機器や通信機器の稼動、携帯機器への充電に用いることができる。

「事業継続のためのリスクマネジメントを先取りする商品です。今や備え付けが当たり前になったAED(自動体外式除細動器)のように、ぜひ1社に1台、備えてほしいと思います」(吉田博一・エリーパワー代表取締役社長)

 パワーイレ1台で最大1000ワットの消費電力に対応できるので、OA機器だけでなく、たとえば金融機関のATM、プロジェクター、冷蔵庫などの大型機器も稼動を続けられる。また、AC電源が2口あり、規定の消費電力内ならテーブルタップも使用できるので、液晶テレビでニュースを確認しながらパソコンを3台使い、携帯電話を5台充電する、といった多様な使い方を、一定時間続けることができる。