Looop(ループ)は、太陽光発電システムの開発・販売・管理を手掛けるほか、自社社太陽光発電所の設置、電力小売事業なども行っている。再生可能エネルギーにこだわりながら、社会インフラの構築も含めた幅広いビジネスを創出していく考えだ。次世代のエネルギー社会実現に向け、前例のない挑戦を続けていく。

ユーザーが設置・運営する
画期的な太陽光発電システム

株式会社Looop 代表取締役社長 CEO
中村創一郎 氏

「当社は東日本大震災で被災地に太陽光パネルを設置するボランティア活動から生まれました」と、Looop代表取締役社長CEOの中村創一郎氏は振り返る。

 被災者に喜ばれたことから、ビジネスの意義を感じ、早くも2011年4月に会社を設立した。まだ、FIT(固定価格買い取り制度)の開始以前だが、「優位性を発揮できる自信はありました。一つはコストです」

 中村氏は当時、中国の上海でレアメタルの調達ビジネスに携わる一方で、現地の太陽光パネル・メーカー向けに、日本からシリコン・スクラップを輸出していた。国内外のパネルの原価などを知り尽くしているとともに、原料のシリコンを供給することで「国内最安値クラスの価格でパネルを調達できる自信があった」からである。

 同社がさらに画期的だったのは、これらの部材をキットにした「MY発電所キット」の開発だ。ユーザー自身がDIY感覚で設置することで初期費用が抑えられることに加え、個人でも太陽光発電所が運営できるとあって大いに注目され、販売件数は全47都道府県で1600カ所以上に達している。また、「MY発電所キット」で培った製品開発力を活かす、「メガソーラーキット」も開発し、大規模な太陽光発電所の建設ニーズに応えている。さらに、全国17ヵ所で自社発電所も運営している。

基本料金0円の電力
「Looopでんき」も開始

 Looopは16年4月の電力小売の全面自由化に合わせ、低圧向け電力小売サービス「Looopでんき」を開始した。その大きなポイントは、基本料金が無料で使った分だけを支払うというシンプルな料金体系だ。無料というインパクトだけでなく、戸建て住宅向け、事務所・商店向けともに、ほかの電力会社の料金と比較し、約5%~10%の電気代削減につながるという。市場の反応もよく、当初設定していた16年期内目標である2万2000件はすでに達成し、目標を5万5000件に上方修正している。

「当社は、電気を安くつくり、効率よく提供するという点では、国内トップクラスだと自負しています。お客様の数が増えることで、さらにスケール・メリットも生まれます」と中村氏は語る。

 ICT(情報通信技術)を活用した省力化に積極的に取り組んでいるのも同社の特長だ。高性能な遠隔監視システム「みえるーぷ」の太陽光発電量データをはじめ、各種データを元に発電量と需要量を高い精度で予測し、電気の調達量を最適化。低料金化を実現している。この電力需給予測システムはすべて自社開発し、特許も取得している。