激しい環境変化に対応して、企業はさまざまな新テーマにチャレンジしている。自社の人材だけでは対応し切れないケースも多い。そこで重要になるのが、専門的な強みを持つ外部とのコラボレーションだ。イントループはフリーランスのコンサルタント、エンジニアを多数擁しており、企業のニーズに対する支援に取り組んでいる。

──まずイントループの生い立ちについてお聞かせください。

 外資系コンサルティング会社で働いていたとき、フリーランスのコンサルタントの方々と一緒に仕事をする機会が多く、今後、プロフェッショナルな業務分野でフリーエージェント化の流れが強まるのではないかと考えるようになりました。そこで、フリーのコンサルタントと企業のニーズをマッチングする事業を柱に、2005年に起業しました。

コンサルティングと
ビジネスプロデュース

林 博文(はやし・ひろふみ)
イントループ 代表取締役

同志社大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。4年間の勤務を経て、ITベンチャーの経営に参画。その後アクセンチュアへの再入社を経て2005年にイントループを設立。事業戦略、BPR、プロジェクトマネジメントなど多様なコンサルティング経験を持つ。海外進出(貿易)、越境EC、農業などのプロジェクト経験も豊富で、新しいビジネスのプロデュースに取り組む。

──創業から13年で、事業規模も大きくなりましたね。

 現在、約3000人に上るフリーランスのコンサルタント、エンジニアが登録しています。社内にも、50人ほどのコンサルタントが在籍しています。私たちが参画しているプロジェクトは多種多様。テーマとしては業務改革やITシステム構築、デジタルソリューションなどに加えて、ビジネスプロデューサーのような立ち位置で新規事業開発にも取り組んでいます。

──ビジネスプロデューサーというのはどのような仕事ですか。

 多くのお客さまとお付き合いする中で、各企業の戦略や強みを深く知ることができます。そこで、「A社とB社が協業すれば、こんな新ビジネスができる」と考えてみる。提案が受け入れられれば、両社の求めに応じて当社が新規事業に参加することもあります。事業を主体的に担う立場になるので、コンサルティング事業とは少し色合いが異なります。このあたりは、当社の特色かもしれません。

──具体的な事例を教えてください。

 典型的な例は、海外プロジェクトです。当社は北京と香港、ホーチミンに海外拠点を置いています。中国で5年、ベトナムで10年、さまざまな事業に関わってきました。一例ですが、中国やシンガポール、ベトナムで日本のコメを現地で普及させようという活動に取り組んでいます。日本のコメに対するニーズは強いのですが、問題は価格です。そこで、輸出するだけでなく、日本の農機具メーカーや農薬メーカー、現地の財閥などと協力して、自国で品質の高い日本米を生産する取り組みを進めています。また、ベトナムに日本の食品を輸出するプロジェクトも進行中です。

 中国では、日本製品の輸出と現地での販売などを手掛けています。お客さまの海外事業を外部から支援するのではなく、現場で一緒に汗を流すのが当社のスタイル。例えば、当社には通関業務の実務経験を持つコンサルタントが何人もいます。恐らく、コンサルティング業界では珍しいのではないでしょうか。