グローバル化の進展に伴い、企業が“英語経験”を求める需要は増えている。年代が上がるごとに英語力による収入の差も顕著になっているようだ。ビジネスの動向が見える求人市場から見た英語の最新事情を、転職エージェント・パソナキャリアカンパニーの宮本千聡マネージャーに聞いた。

パソナキャリアカンパニー
宮本千聡 マネージャー
(人材紹介事業部門 エグゼクティブ担当)

 「転職では特に即戦力としてのスキルが求められるため、年代が上がるごとに、英語経験がある方とない方では年収に差が現れる傾向にあるようです。2016年にパソナキャリアから転職された方の年収で算出したところ、40代では平均年収で約143万円、50代で約204万円の差が出ています(図表1)」

 英語での交渉可能なレベルの語学力を持った人と比較した結果だ。海外展開を本格化しようと考える日系企業が、海外経験や語学力のある現場のマネージャークラスを求めるケースも多い。社内に適切な人材がいない場合、即戦力になる外部人材を管理職として採用する。業種は問わないが、メーカーや金融、さらに飲食の分野で増えているという。

 「例えば、大手企業で海外勤務をされていた50代の方のケース。国内本社への異動があったものの、本人はまだ海外の第一線で働きたい。そこに日系の中堅企業から海外販路を広げるための管理職の求人があった。両者の思惑が一致し、その方は同社に転職。現在はASEAN地域のマネージャーとして活躍しておられます」

世代が上がるにつれ英語経験のあるなしで平均年収に差が出てくる

 一昔前と違って外資系企業ばかりでなく、グローバル展開を見据えた日系企業から求人が増えている傾向がある。だが、英語力を生かした外資系企業への転職もいまだ健在だ。

 「ある化学系の日系企業で、新製品の開発に携わっていた40代のエンジニアの方。語学力もあり最先端の研究に携わりたいという思いから、外資系の研究機関に転職。現在は米国で勤務されています。年収のアップもさることながら、最先端の研究に触れられるという意味で、満足のゆく転職となりました」
 いずれも、英語力がなければかなわなかったものである。