国内市場の成熟化、新興市場の成長といった環境変化を受けて、輸出の強化を打ち出している中小企業は少なくない。初めて海外にチャレンジする企業にとっては、通関手続きや、現地での輸送状況など、物流面で不安な要素もあるだろう。国際物流大手のUPSは、多様なサービスメニューを通じて中小企業の物流課題の解決策を提供してきた。UPSジャパン代表の梅野正人氏に、中小企業の海外輸出の現状と課題、同社の取り組みなどを聞いた。

伸びる中小企業の国際物流需要
越境ECなどの輸出入も増加

――国内ビジネス中心だった中小企業が、海外への輸出を強化する例を最近よく見かけます。

梅野 業績好調な中小企業を中心に、海外でのビジネス拡大を目指す動きが活発化しています。当社のお客様の中でも、初めて海外輸出にチャレンジする企業、輸出を想定した商品開発を強化する企業などがいらっしゃいます。東南アジアなどの新興国に拠点を開設する企業もあります。中小企業の海外への関心は非常に高まっていると感じます。

海外向け電子商取引における課題
多くの中小企業が「商品配送に係るリスク(破損、正確性)」「物流コストが高い」「通関手続きの煩雑さ」といった点を課題に挙げており、大企業と比較してもその課題感は強い。
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――越境ECの市場も拡大しつつあるようですね。

梅野 参入障壁が低く、初期投資も比較的抑えられる電子商取引(EC)は、中小企業にとって魅力的な事業形態だといえます。当社でも、EC関連のお取り扱いは、輸出入ともに増えています。

――海外輸出を行う中小企業で見られる課題には、どういったものがありますか。

梅野 国内輸送とは違い、輸出の際には、発送や通関のための必要書類や、各国で異なる輸入規制、関税や輸送コスト、現地での輸送状況等、荷主にとっての懸念事項が数多くあります。限られた人的・物的リソースを、より有効に使うためにも、中小企業にとって、こうした物流課題への対応は重要です。