デジタルマーケティングソフトウェアの先駆的企業である米マルケトは、マーケティングは一部の専門的な業務でなく、営業を始めとした事業活動全体を支援する企業の司令塔になるべきと説く。今回、企業向けデジタルマーケティングの新手法「アカウント・ベースド・マーケティング」(ABM)の製品を発表した。ABMとは何か、営業とマーケティングの関係はどう変わるのかなどについて、製品担当バイスプレジデントに聞いた。

マーケティングは営業を助けているか

企業向け営業の課題は<br />デジタル技術で解決できるかマット・ジリ(Matt Zilli)
米マルケト
プロダクト・マーケティング&セグメント・マーケティング担当バイスプレジデント
米サンタクララ大学でコンピューターサイエンスの学士(理学)を保有し、UCバークレーのハーススクールビジネススクールのMBAを取得。Texas Instrumentsや、データに基づくパーソナライズされた方法を創出するRovi Corporationで営業、マーケティング、事業開発、製品管理の各部門を歴任、LineStream Technologiesのマーケティング担当バイスプレジデントを務め、2013年マルケトに入社し、現職

――デジタルマーケティングが企業にとって重要度を増してきたと言われます。その理由はなんでしょうか?

マット・ジリ(以下・黒文字) およそ10年前は、マーケティングの課題は企業の中でも特定の業務に関してのみ存在しており、その課題を解決する仕組みを導入していました。そのため、とくに営業の現場からは、データだけを見て、それを加工して喜んでいるだけで営業の役に立っていない、などと言われていたのです。

 しかし昨今、顧客の活動自体がWebなどのデジタルの場で行われることが圧倒的に増えています。それに伴い、顧客からの企業に対する期待値も増してきています。そのため、デジタルマーケティングが商品開発から営業まで、企業全体の活動に果たさなければいけない役割が増えているのです。

 例えばデジタルの時代に生まれた企業の代表格であるウーバーは、顧客体験の向上を主眼にビジネス自体を組み立てています。顧客からの情報をもとに、日々サービスを改善しているのです。

 一方、デジタルの時代に生まれていない古い会社は、2つに分類できます。1つはなんとかマーケティング部門と協調しながら変化しようとしている企業と、全くそこに対応できていない企業の2種類です。

 成功している企業は、顧客との接点について全チャネルの調整ができているか、しようとしています。またそこから得られたデータを生かして、個別の施策をバラバラではなく、統一した計画で対応できています。