今月の26日からフランスで先進国首脳会議(G8)が開かれる。世界は、とりわけ福島第一原発事故の行方に神経を尖らせており、わが国のプレゼンテーションに耳目が集まっている。いわば、世界がわが国に「絶好球を投げるからどうぞ打ってください」と格好の舞台を提供してくれているようなものだ。ここで、思い切りよくバットを振り切らなければ、それこそわが国はしばらくは国際社会から相手にされないだろう。では、どのようにバットを振り切ったらいいのだろうか。

第一原発の現状は
想定以上に深刻ではないか

 大震災後2ヵ月、ようやく作業員が第一原発1号機の原子炉建屋に入ることができた。そこで明らかになったことは、原子炉がメルトダウンを起こしていること、格納容器が水漏れを起こしておりこれまで試みてきていた冠水作業を見直さざるを得なくなったこと、水漏れによって地階に大量(3000トン)の汚染水が溜まっていること等であった。「冷やす」ために懸命に注いできた水が漏れているのであれば、冠水による水棺化という解決法はもはや不可能であろう。

 また、これまで注いできた水量は優に1万トンを超える。大半はおそらく蒸発したものと思われるが、差分の一部分がもしや海に流れ出してはいないのか、放射性物質を「閉じ込める」という観点からは気になるところである。2号機や3号機についても、同様に、建屋内に作業員が入ることができれば、これまで想定しなかった新たな事態が発見されないとは限らない。つまるところ、第一原発の現状は想定以上に深刻であり、工程表通りに事態が沈静化するかどうかは、まだ予測がつかないという状況だと考えた方がいいと思われる。