偏差値35の落ちこぼれが 奇跡の東大合格をはたした、『現役東大生が教える「ゲーム式」暗記術』。本連載では同書の勉強嫌いでも続けられるゲーム式暗記術や、東大生の勉強にまつわるエピソードを紹介していきます。「英熟語ポーカー」「単語マジカルバナナ」「メモリーチェックゲーム」「暗記復讐帳ゲーム」など英語、資格試験……なんにでも使える24のゲーム式暗記術に注目です! 今回は現役東大生である著者の西岡壱誠氏が実践する、「ゲーム式暗記術」番外編です。

10分で賢くなれる! 現役東大生が実践する秘密の思考法ゲームとは

日々の生活で実践できる
東大式10分間思考法ゲーム

みなさん、東大生なら誰もが日常的にやっている思考法をコピーしたいと思いませんか?

「東大生といってもたくさんいるわけだし、そんな思考法が存在するわけないじゃん!」
と思う方も多いでしょうが、実は今から紹介する思考法は東大の入試問題で課されているものなのです

次の問題をご覧ください。
日本で販売されているカボチャの大半は北海道で生産されていますが、オーストラリア産のものも多く存在します。なぜでしょうか?(2015年 一部改編)

「なんだこの問題?」と思いませんか?「こんなことを聞いて何になるのか?」と。しかし、ここにこそ東大が受験生に求める思考パターンがあります。

この問題の解答は、カボチャが収穫できる時期が関係しています。カボチャが取れるのは夏。しかし、冬に食べたいという人もいますよね?オーストラリアは南半球ですから、日本とは季節が逆です。だから、冬にも生産できるオーストラリアから輸入しているという訳です。

この問題に正解できるのは、「普段食べているかぼちゃだけど、どこで作られたものなのかな?」なんて思考したことがある受験生です。

また、次の問題をご覧ください。
次の時刻表のうち、人口約5000人の山間部の村のバス停の時刻表はどれでしょう?(2005年 一部改編)
これも先ほどと同じです。例えば、この問題をきちんと正解できるのは、過疎化の問題が「バス」のような身近なところから進展していることを理解していて、かつ自治体やバス会社がそれにどのような配慮を取っているのかを理解している受験生です。つまり、一度でも「過疎化の進む村では、バスとか電車とかそういった交通の便はどうなっているんだろう?」などと、思考したことがある学生が正解するのです。

以上の入試問題からもわかるように、東大生は「日常の些細な事柄に疑問を持って、深く考える」という思考法を実践しているのです。

その思考法をゲーム化したのが、今から紹介する「東大式10分間思考法ゲーム」です。
ルールは簡単。

1 人が集まりそうな場所に行く。
駅前でもスーパーでも、公園でも百貨店でも、どこでも構いません。通勤の片手間でも大丈夫です。なぜこのような場所を選ぶのかというと、「日常に潜む謎」に出会いやすいのが、人が集まる場所だからです。

2 そこで、なんでもいいから一つ、疑問を持ってみる。
本当になんでも構いません。先ほどの問題のように「この牛乳はどこで生産されたものなんだろう?」「この駅の時刻表で一番電車の本数が多いのはどこの時間帯かな?」とか、そういった「普段なら見過ごすけれど、今まで考えたことのない事柄」に疑問を持ってみる、ということです。

3 それを、10分間でどんな形でもいいから調べてみる。
方法はネット検索で構いません。意外と同じような疑問を持った人が「Yahoo!知恵袋」に投稿していたりします。

4 制限時間10分で、答えが見つかったらゲームクリア!
答えが見つからなかった場合はゲームオーバーです。

このゲームを実践することで、どんな人でも、日々見掛けるようなありふれた事柄から学ぶことができて、また学ぶ姿勢を養うことができます。
なぜ10分という時間制限があるのかというと、「答えが見つからないもの」や「調べてもわからないもの」も世の中にはあるからです。そういうのは、「疑問に持ったまま」でスルーしておいてください。そうすれば、いつかひょっこり答えに巡り会うかもしれません。
このゲームは「日常の些細なことから学ぶ」思考法を養うもの。「ゲームクリア」にももちろん意味はありますが、このゲームを実践すること自体に効果があるのです。

「そうはいっても、このゲームに本当に意味があるの?」とまだ半信半疑の方のために一つこんな話を用意しました。
皆さんは、ケンタッキーフライドチキンの「カーネル・サンダース」の本名を知っていますか?「ハーランド・デーヴィッド・サンダース」です。「カーネル」というのは、彼の名前ではないのです。

ここで一つ、疑問が生まれます。カーネルってなんなのでしょうか?
実は、カーネル(colonel)という言葉は、「大佐」という意味の英単語なのです。彼自身は軍の大佐ではないのですが、ケンタッキー州から「名誉大佐」の称号を与えられたため、「カーネル・サンダース」と呼ばれるようになったのです。つまり、私たちは普段彼のことを「サンダース大佐」と呼んでいるわけです。ケンタッキーを利用する人はたくさんいるでしょうが、この事実を知っている人は少ないのではないですか?
そして、このことを知っていれば、楽に「colonel」という英単語を覚えることができますよね?実際私も、この話を知っていたおかげでテストで「colonel」の意味を答えられました。

東大の授業でも、「普段使っているこういう言葉は、もともとはどういう意味で使われていたのか考えてみよう」とか、「渋谷の駅から学べる工学的なシステムを考えてみよう」とか、そういったものが多いです。
「日常の些細な事柄から学ぶ」というのは、学習の基本、学びへの扉、つまりは「教養」の源泉だと言えるのではないでしょうか?

だからみなさんも、是非このゲームを実践してみてください!