今から、家を買うには将来、損しないかどうかまで、計算してから買ったほうが安心です。その計算が簡単にできるツールが付録でついている『家を買って得する人、損する人』が発売されました。
ほかにも住宅購入の損しないポイント、築年数ごとのねらい目物件の選び方、将来破産しないための資金計画、住宅ローンの選び方ノウハウ、損しない物件を紹介してもらうための不動産業者との付き合い方まで……家を買うときに、役立つ情報が満載。この連載では、本から一部を抜粋、再構成してご紹介します。

『金持ち父さん、貧乏父さん』は<br />なぜ、持ち家を「負債」と言ったのか?

持ち家は、「資産」か「負債」か?

 国土交通省の調査によると、日本における20歳以上の8割を超える人が住宅を所有したいと思っています。

 近年、不況の影響もあって持ち家率が下がってきたとはいえ、現在でも約6割の世帯が家やマンションを保有しています。日本社会では、立派な家を建てることがステイタスの象徴でしたので、家を持ちたいという願望は日本人の心に根付いた価値観によるものであると思います。

 他方で、家を所有することは「負債」であるとする考え方もあります。

 2000年に発刊された『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター共著)という本をご存じでしょうか。この本はアメリカの投資家であり、実業家でもあるロバート・キヨサキ氏が、高学歴でも貧乏な父と、ハイスクールすら卒業していないが事業で成功した金持ちの父、この二人の考え方を元に、お金持ちになるための方法を説く……という内容です。アメリカのみならず日本でも大ベストセラーとなり、累計380万部を超える人気シリーズの本で、今でも売れています。

 私自身、発売された当時にこの本を読んだことで、お金に関する考え方が変わりました。「お金を上手に増やすには、お金にうまく働いてもらう仕組みを手にすることが有効である」ということ。こういった考え方は、その当時、新鮮に感じられました。

 この本では、お金に働いてもらう一つの策として、投資用不動産の購入を勧めています。収益を生む不動産を運用することにより、自分が直接働いて稼ぐ以外にも収入を得るべきだという考え方です。
 不動産業に携わってきた私にはうすうすわかっていたことでしたが、それが、はっきりと書かれていて、「やはり収益不動産を持つのは重要なのだ」との思いが強くなりました。

 そして、さらに読み進めていくと、この本では収益用の不動産とは逆に「自宅の購入」こそが「お金の浪費」の代表格だとしています。

 確かに、住宅を購入することは、「教育費」及び「老後費」と並ぶ人生の3大支出項目とされており、総支払い額は数千万円となります。また、収益用不動産とは違って、お金を生み出すものではなく、維持費などでお金が出ていく=浪費するという考え方もできます。

 ロバート・キヨサキ氏は住宅の購入ではなく、投資用不動産の購入を勧め、投資用不動産の購入は毎月一定の家賃収入を得られるキャッシュを生み出すシステムであるとして、左記のように表しています。

 投資のための不動産=「資産」(キャッシュを生む不動産)
 居住のための不動産=「負債」(キャッシュを浪費する不動産)

 しかし、本当にそうなのでしょうか?

 この本の中で、たったひとつ私が同意できなかったのが、この居住のための不動産の考え方です。