アメリカン・エキスプレスとダイヤモンド社の共催で2015年に始まった「アメリカン・エキスプレス・インサイト・ビジネス・フォーラム」。3年目を迎えた今年第1回目のテーマは「常識を覆す~創造的破壊が拓く未来」である。米倉誠一郎氏の塾長トークに続いて、旭酒造会長の桜井博志氏と建築家の隈研吾氏がそれぞれ逆境からいかに成功をつかんだかを講演し、塾長を交えた鼎談と併せて会場は大いに盛り上がった。

延長線上で頑張っても
うまくいかない

塾長
米倉誠一郎
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授
一橋大学イノベーション研究センター 特任教授

「時代が大きく変わりつつある中で、経営者には従来の常識を覆すような発想が求められています。これまでの延長線上で頑張ってもうまくいかない。そんな感覚を持つ経営者は少なくないでしょう」

 米倉誠一郎氏はそう語り、オープニングの塾長トークを始めた。2015年にスタートした「アメリカン・エキスプレス・インサイト・ビジネス・フォーラム」だが、その狙いは未来志向の中堅・中小企業の経営者を応援するとともに、厳しい時代を勝ち抜くためのヒントを提示することである。米倉氏はさまざまな具体例を示しながら、常識を覆すイノベーションについて語った。

「シュンペーターは創造的破壊という言葉を使いました。馬車を20台つないでも機関車にはなりません。鉄道は当時の馬車業者にとってはビジネスの破壊です。一方、移動ニーズを持つ顧客には大きな利便性をもたらしました」

 破壊的な変化やイノベーションは、さまざまなところで起きていると米倉氏は言う。

「身近なところでは、回転寿司があります。寿司をより手軽なものにすることに成功し、世界マーケットを切り拓きました。宿泊予約サイトの一休.comは、『ちょっと頑張れば泊まれる高級ホテル』というリーチャブルな夢を提供しました」

 今後も多くのイノベーターが現れ、様々なところで創造的な破壊が起こるだろう。今もデジタル化、素材革命などがもたらす環境変化を受けて、独自のアイデアで既存企業に挑むスタートアップが続々と生まれている。