中国LED(発光ダイオード)照明市場で世界のメーカーが覇権争いを繰り広げている。国内トップメーカーであるパナソニックグループはどう攻略していくのか。広州で行われた国際照明展覧会の様子と同グループの中国戦略を追った。

 エネルギー需要拡大や日本の原子力発電所事故を背景に、世界的に省エネへの関心が高まっている。電力消費のなかでも大きな割合を占める照明分野では、白熱電球から高効率な蛍光灯へ、さらに省エネで長寿命なLEDへと光源の置き換えが進む。

 慢性的な電力不足に悩む中国でも同様だ。建設ラッシュを背景に照明市場は年2桁の伸び率で成長。LED市場規模も2012年には414億元(約5175億円 *1)へと拡大することが予測されている。

 こうした動きを受け、国内外のメーカーが中国LED市場に参入。先行するのは蘭フィリップスや独オスラムなどの欧米メーカーだが、日本メーカーも猛追を見せ始めた。日本のLED市場をリードするパナソニックグループだ。

政府系プロジェクトで
LED照明を受注

記者会見には多くの現地記者が詰めかけ、パナソニックグループの中国展開への関心の高さがうかがえた

 今年6月に広州で開かれた世界最大級の照明の見本市「広州国際照明展覧会」は10万人超の来場者を数えた。パナソニックグループも初出展し、中国展開への意欲を内外にアピールした。

「中国での照明事業はLEDに大きく舵を切る。15年度にLED比率で60%、売上高は09年度比で5倍となる30 億元(約375億円 *1)を目指す」。広州市内で行われた記者会見でパナソニックグループで照明事業を担当する松蔭邦彰役員は強調した。

パナソニック電工中国の
山本晃弘董事長

 手始めは非住宅分野からだ。パナソニック電工中国は山東省済南市で政府が実施するLED普及プロジェクトに参画。新しく建設される高速鉄道の駅前ビル向けに、LEDダウンライト5000台を受注した。参画企業28社のうち外資は2社(パナソニック電工とフィリップス)のみ。パナソニック電工製品の品質が評価された。

「政府は良質なLED照明の普及に向けた整備を進めている。また消費者側の質への要求も高まっている。今後のLED市場は質が問われることになる」(パナソニック電工中国の山本晃弘董事長)

*1 1元=12.5円で計算