決済ソリューション「NP後払い」で実績を持つネットプロテクションズが、新カードレス決済「atone(アトネ)」を発表した。常識にとらわれない戦略で成長する同社の挑戦は、新たなムーブメントを生み出すことができるのか。

6月21日、電子マネー、ビットコイン決済に並ぶ次世代の決済として期待される「atone」の発表会が行われた

「新決済サービス『atone』は、2000年の創業以来、ずっとやりたいと考えていたサービス。5年前から本格的に開発に取り組んで実現したもので、感慨深いものがあります」

 6月21日、東京・赤坂ガーデンシティで行われた同社の新サービス発表会の冒頭、柴田紳社長は壇上でそう語り始めた。

  一言でいえば「atone」とは、「スマホで買って、翌月コンビニ払い」を可能にするカードレス決済サービスである。クレジットカードがなくても、ユーザー会員登録をすることで、だれでも翌月支払いで買い物を楽しめることができる。事業者にもユーザーにも多くのメリットがある、商取引をスムーズにする画期的なシステムである。

「NP後払い」で
蓄えた資産を活用

 このサービス、もちろん一朝一夕にできるものではない。その土台には、ネットプロテクションズが展開してきた「NP後払い」システムの存在がある。

満を持して新決済サービス「atone」の発表を行う柴田紳社長

 「NP後払い」とは、商品を受け取った後でNP(ネットプロテクションズ)が請求書を発送、ユーザーがコンビニ・銀行・郵便局で支払いをするというシステムだ。すでに月間利用ユーザー数は300万人、導入店舗数は2万3000店を越え、後払い決済事業者の中で圧倒的なシェアを誇っている。

 「当初は実現不可能と言われたビジネスモデルですが、少額大量の未回収リスクを積極的に請け負ってきたことで軌道に乗りました。少額債権の分散によって、大数の法則でリスクが安定化、さらにリピーターの増加に伴って未払い率が低減したのです」

 と柴田社長は説明する。

 この「NP後払い」事業を通して、同社では大量かつ独自のビッグデータと与信ノウハウを蓄積、さらにオペレーションノウハウも洗練されたため、今回の新決済サービスを実現できたのである。

ユーザーと事業者双方に
大きなメリットが

 新決済サービス「atone」の仕組みはシンプルである。会員登録をすれば、誰でもすぐに使えるのが特徴で、電話番号とパスワードだけで買い物が可能になる。

 ユーザーは利用金額を1カ月まとめて翌月20日までにコンビニで支払する。この際、ユーザーは「atone」を利用した月のみ、90円の手数料を支払う。さらに利用金額の0.5%が、代金の値引きに使えるポイントとして貯まってゆく。

 一方加盟店側は、ネットプロテクションズが代金を立替え払いするので、ユーザーが支払わなかった場合でも、未回収リスクは100%保証される。

 スマホによる決済選択画面も、シンプルで使い勝手がよくなっている。サインイン、ポイント入力、決済・注文確認と、3ステップのみで決済が完了する。

新サービスの説明をする杉山崇「atone」ユニットマネージャー

 同社企画室、杉山崇「atone」ユニットマネージャーは、「ユーザーにとっては、商品が到着して確認した後にコンビニで支払いができるので、安心な上に現金決済なのにポイントが付く。またスマホさえあれば、クレジットカードや財布がなくてもどこでも買い物ができる利便性があります。事業者側のメリットは、代金未回収リスクがゼロになること、与信結果をリアルタイムで回答するため、お客さま満足度が上がり、商品の在庫保持が不要になり、ビジネスチャンスが増えることです」と、その利点を強調する。

 とくに事業者にとっては、「1.9%+30円〜」という業界最安値の手数料でサービスが使えることも、大きなメリットとなる。さらに「NP後払い」で実績を重ねたシステム運営の安定性が、事業者の安心を醸成する。