外資系コンサルティングファームのマネジャーであり、月間20万PV超のビジネスブログ「Outward Matrix」の運営者でもある20代の若手コンサルタントShin氏の処女作『コピー1枚すらとれなかったぼくの評価を1年で激変させた 7つの仕事術』が発売となる。本書のタイトルにあるように、もともとド落ちこぼれだったShin氏(落ちこぼれ時代のエピソードは、連載第1回をご参考ください)。彼はいったいどうやって、たった1年で外資系コンサルティングファームのマネジャーにまで上り詰めたのか――。急成長を遂げる過程で、考えたこと、学んだこと、そして実践してきたノウハウについて、Shin氏に教えていただいた。

「何度同じこと言わりゃ、気がすむんだよ!」

 ぼくは、上司からの指摘を吸収することが、とても苦手でした。「何度同じことを言わせりゃ気がすむんだよ!」と言われた回数は、もはや数え切れません。同じミスを1日に3回したときは、先輩のコブシがわなわなと震えていました。

 みなさんはいかがでしょうか? 「上司からの指摘? そんなの速攻で覚えられるよ!」と自信を持って言いきれる人であれば、これ以降を読む必要はありません。しかし、少しでも自分の吸収力に不安があるなら、手遅れにならないうちに改善する必要があります。

「吸収力」と聞いて私たちがよくやるのがメモを取ることです。メモを取ること自体はもちろんいいことです。上司からの指示や指摘を紙に書きつけることは、頭の整理のためには非常に有用だと言えます。ぼくも、上司から指示を受けたときは、1週間でメモ帳がなくなるほどメモを取りまくっていました。それにもかかわらず、なぜこのようなていたらくだったのか――。

 いまとなっては言えるのですが、「吸収力」という観点から見ると、メモほど無意味なものはありません。たくさんメモを取りまくっている人もいるとは思いますが、それをどこまで活用できているでしょうか? メモを取って満足し、そのままになっていないでしょうか? メモを取っても、それを吸収しなければ何も意味がありません。上司からの指摘や新しい学びは最終的にぼくたちの頭の中に完全にインプットされ、いつでも取り出せる状態にしなければならないのです。

 出来がいい優秀な人であれば、一度聞いてメモしただけでそれができるのかもしれませんが、ぼくも含めた大多数の人にはそんなことは不可能です。ぼくたちは、メモを取るだけでは成長できないのです。

 そこまで考えが至ったとき、ぼくは絶望にとらわれました。指摘事項を覚えて生かすことができないぼくのような人間は、いつまでたっても成果を出せることはなく、このままずっとイマイチな仕事人生が続いていくのだという事実に気づいてしまったからです。

 指摘事項を記録するツールは、アナログからデジタルまでさまざまですが、それらを使ったからといって自分の吸収力が上がるとは到底思えませんでした。なんとかしようと記憶術の通信教育を受けたり、さまざまな本を読みあさりましたが、その答えは見つかりません。とはいえ、そこであきらめてしまっては、ぼくはいつまでも「吸収できないイマイチな新人」から抜け出せないままです。なんとしても解決法を見つけ出し、スポンジのように知識やノウハウを吸収できる人間になる必要があったのです。