医食同源というように、じつは美食はからだによい?ウェルネスをキーワードに太鼓判をおせる店を選出。家族でも友人どうしでもデートでも、絶対にハズさない5つのマスト・レストラン。

しっかり味わって食べることが
からだと心のウェルネスだ

「いそがしいときには、簡単にテンポの早い要領のよい、そして栄養もあるという食事も、大切だとは思いますが、忙しいとおもいだしたら、毎日でも忙しい気になって、ズルズルになってしまいます。どの一食でも、限られた一生のうちの、貴重な一回の食事ですから、そういう食事ばかりでは淋しいことだと思います」。

 こう書いたのは、すぐれた料理人として名が残る「吉兆」の湯木貞一さんだ。 

 料理を作るひとの評価として"手抜きをしない"とよく言われるけれど、逆に食べるがわとしたらどうだろうか。おいしい料理を探し出したら、しっかり味わって食べる。それこそ、からだとそして心のウェルネスを維持するためにもっとも重要なことといえる。

 熟成牛肉も充足感があればそれでよいが、このページではまた少し違う観点で、おすすめしたい料理とレストランを選び出してみた。味よく、雰囲気も、サービスも楽しめる。そしてウェルネスも。忙しい合間にもぜひ。

厲家菜(れいかさい) 銀座

ガンの抑制を気にしていた
西太后が愛した“龍のひげ”

美食の先をいくレストラン「最上の部位だけを選んだフカヒレの蒸し煮」ヨシキリザメの背びれのみを使い、ていねいに1本ずつほぐして手作業で繊維のあいだの脂をとりのぞいたもの。2.5万円のコースメニューの一品(税込/10%のサービス料別)

 中国清代の宮廷料理を今に伝える料理店。北京は胡同にまさに隠れ家的に存在し、西太后(1835-1908年)に提供していたレシピを再現し提供してくれている。

 かつては六本木に東京店があったが、いまは銀座で美しい内装とともにみごとな料理が楽しめる。健康維持とともに毎日食べても飽きないことが求められていたので、料理は味わいぶかい。

 強い味はいっさい前面に出てこず、食べているうちにじわっと独特のおいしさを感じるように。2度目は初回よりもさらに堪能できるはず。厨房を仕切るのは第4代伝承者の厲愛茵さん。北京と東京を往復する。驚くほど手間のかかったシンプルな料理。最高のぜいたくだ。

清の皇太后の健康維持の秘訣は
これらの料理を毎日食べることだった

美食の先をいくレストラン

 上記写真、手前から時計まわりに。枝豆とホタテを使った「翡翠(ひすい)豆腐」。細く刻んでじっくりじっくり火入れした精進料理「人参の炒めもの」。

 西太后が愛した京劇の太鼓に見立てた「海老の錦糸玉子巻き揚げ」は豚の網脂も使い上品かつ濃厚。茎のなかでも食感のすぐれた部分のみを使い見事に均等に刻んだ「セロリの蛯子酢和え」。

 大豆のゆで汁でみごとに細かい隠し包丁の入ったナスを煮含めた「ナスと大豆の和え物」。かたまりのまま一度蒸すことで脂を落としつつ低温調理で風味をきれいに残した「豚ばら肉のくん製」。

美食の先をいくレストラン桂林を表現したという内装で、ソファの背もたれは山を、カーテンは霧を、ランプのカサは雲を意味しているという。各テーブル間は遠く適度にプライバシーが保たれる。個室あり。

厲家菜(れいかさい) 銀座
東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル9F
TEL:03-6228-6768
11:30~14:00 L.O.、18:00~21:00 L.O. 無休
ランチ 3800円~、ディナー 1万5000円~
http://www.reikasai.jp/