大好評の本連載。ここまで2回目までは、高すぎる「がん保険」の謎に迫りました。第3回目は、それでもがん保険に入りたい人向けに、『がん保険を疑え!』の著者・後田亨氏が、入り方のポイントを具体的にご紹介します。終身型がいいのか定期型がいいのか。そこには保険そのものとの付き合い方が見えてきます。

「がん保険」で最重視すべきは
診断給付金である

 販売手法や価格設定などに疑問が多い「がん保険」ですが、世の中「いざとなったら、預貯金やその他の資産を換金するだけ。何も心配ない」とおっしゃる方ばかりでもないでしょう。そこで今回は、「がん保険」の入り方を考えます。

 とはいえ、難しく考える必要はありません。

 「まとまったお金のために1円でも安く加入する」。

 それだけです。

「がん保険」に限らず、保険とはそういうものだからです。たとえば「日帰り入院」で1万円が支払われる場合、あるいは支払われない場合、その後の生活がどれくらい変わるだろうかと考えてみて下さい。そもそも保険の利用を検討すべきテーマだろうかという疑問が浮かぶでしょう。

「がん保険」で、最もまとまった金額が見込めるのは、がんと診断された時点で100万円単位のお金が支払われる「診断給付金」です。診断給付金100万円、入院給付金1日あたり1万円、通院給付金1日あたり1万円というプランに加入した場合を想像してみるとわかりやすいと思います。

 入院や通院に対応している給付金は、少額の給付にとどまる可能性もあります。大きな金額になるにしても時間がかかります。その点、診断給付金は、他の給付金より早い時点で請求ができる点でも優れています。

 また、一度の請求で済むことも重要でしょう。「入院」や「通院」など費用が発生する要因別に「特約」を充実させると、その都度請求の手間もかかります。

 単身者や高齢者が増える中、頻度に関して言えば、「一度で完了する手続き」以上に、保険金請求に関する「サービスの向上」は考えられないはずです。「煩雑な手続きの心配は御無用。そんな時のために対面販売の担当者がいます」といった保険会社からの説明も考えられますが、説得力には疑問が残ります。担当者が変わりやすいこと、それを防ぐ方策がなかなか奏功しないことは歴史が証明しているからです。

 そんなわけで「がん保険」選びは、診断給付金を最重要視する、他はこだわらないという選択が良いと思います。極力シンプルなプランの利用がおすすめです。