採用にSNSを使う落とし穴「似た学生ばかり集まってしまった」

SNS活用だけでは足りないものとは?

 これまで、筆者が所属していた三幸製菓の採用の変遷を述べてきました。

 前回は、母集団重視の採用スタイルから、ソーシャルメディアを活用し、じっくりと学生に向き合うことを重視する採用へとトライしてきたことをお伝えしました。

 具体的には、Facebookを起点に、学生とのエンゲージメントを重視した活動を志向し、学生との熱のあるコミュニティを生み出していったこと。結果的に、採用プロセスも母集団重視で行ってきた時期に比べ、採用活動の質を高めることにつながっていったことなどです。

 しかしその後、ソーシャルメディアの活用だけでは足りないものも見えてきました。それは採用における「多様性の担保」です。

 私たちは、ソーシャルメディアの特性を活かし、学生と深く交流するスタイルを突き詰めていきましたが、結果的に、選考に進んでくる学生が似通ってしまう「同質化」の傾向に悩まされることになりました。

 もちろん、同質化は必ずしも悪いことではないと考えます。採用したい人物像として、理想的なペルソナを設け、それに見合った望ましい人たちが数多く選考に来てくれたら、企業側としては嬉しい側面もあるでしょう。確実にカルチャーフィットも見込め、意思統一が図られた力強い集団が築きやすくなります。

 ただ、三幸製菓がさらに成長していくためには、同質化がマイナスになる可能性があると感じていました。

 三幸製菓は、2000年代以降の10年で、飛躍的な成長を果たした企業です。メーカー、中でも製菓という産業の中で、150億円超の売上から、10年で3倍の450億円以上の売上を上げるという急成長を遂げてきました。これはひとえに、経営の力強いリーダーシップによるものです。

 しかし、市場が成熟化する中で、そこから消費者の移り変わる趣味・嗜好に対応したり、多角化や海外展開を視野に入れた経営戦略を描くためには、同質的な集団の組織では限界があります。そのため、採用においても「多様性の確保」は重要なポイントになっていました。

 では、多様な人々を採用するためにはどうすれば良いのか?