『証券会社が売りたがらない米国債を買え!』の著者・林敬一さんによる大好評連載の3回目は、債券ファンドについてです。前回は、米国債の魅力をダイジェストでお伝えしましたが、今回は打って変わって「債券の専門家として黙っていられない!」となにやらお怒りの様子です……。

債券ファンドはリターンを約束してくれない

 ここまでの話は、

・米国債の格下げのインパクトは限定的。
・確定利回りで低リスクな「債券投資」というものがある。
・米国債は安全な投資対象だから世界中からお金が集まる。
・長期投資なら金利は為替に負けない。

 ということでした。

 さて、「債券投資」というと一般の方は債券に投資する投資信託を思い浮かべるかもしれません。しかし、こうした債券ファンドは間違っても買ってはいけません。
なぜか?

 価格が上下して、元本割れする可能性があるからです。

「債券投資だって同じじゃないの?」

 いいえ、債券は購入時に金利が決まり、満期までの間、ずっとその金利を享受できます。満期前に売却する場合は、価格が上下して元本割れの可能性もありますが、満期まで持てば決まった額が返ってくるのです。ですから「フィクストインカム(Fixed Income)」と呼ばれます。債券ファンドはそんな約束はミジンもしてくれません。

「じゃ、なんで世の中にはゴマンと債券ファンドがあるの?」

 証券会社が儲かるからです。証券会社のトクは投資家のソン。それが投資の世界の鉄則です。 私の本のタイトルは、『証券会社の売りたがらない米国債を買え!』ですが、その理由の一つがこの鉄則にあります。では詳しく見ていきましょう。