アイディアや発想や企画は、突然、魔法のように浮かんでくるものではありません。なにより大切なのは、日々「気づく」こと。これまで数多くのヒット番組やヒット企画を手がけてきた人気プロデューサー・おちまさと氏が、「気づける人」になるためのトレーニング方法やテクニック、またアイディアや企画を生み出すコツやノウハウについて語ります。

「自分を疑う」ことが「気づき」の第一歩

 僕は毎日、反省ばかりしています。

「どうして気づかなかったんだろう」と思うことが、日々、次々とやってくるからです。

 今まで自分の中で、勝手に意識のシャッターを下ろしてしまっていたことが、いかにたくさんあるか。「こんなことではいけない。もっともっと“気づき”の意識を高めないといけない」と反省するのです。

 たとえば、僕に子どもが生まれる前の話をしましょう。

 出産前の準備で、代官山に買い物に行ったときのことです。すると、これまでに何度も通ったことのある道に、実は子ども服のお店がたくさんあることに気づきました。

 しかも、どのお店もお客さんでいっぱい。「なぜ、今まで気づかなかったのだろう」と愕然としました。子どもが生まれることになってはじめて、何度も訪れたことのある街角にまったく知らない世界が広がっていることに気づけたのです。

 ある程度長く生きていると、どうしても「自分はそれなりに物事がわかっている」と考えてしまいがちです。

 しかしそれは大きな間違いで、世の中は多くの人にとって知らないことだらけ。むしろ知っていることのほうが少なくて、知らないことのほうが圧倒的に多い。

 だからこそ、「自分は世の中がまったく見えていない」という認識を持つことが、とても大事だと思います。

 自分自身をいつも疑ってかかるのです。

おちまさと

1965年、東京都生まれ。プロデューサー。1987年「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」の放送 作家オーディションに合格し、番組の総合演出・テリー伊藤氏に師事し放送作家デビュー。「学校へ行こう!」「仕立屋工場」「音楽寅さん」「空飛ぶグータ ン」など数々のヒット番組で企画・演出・プロデュースを手がける。WEBサイトやSNSゲーム、ファンションからマンションまで、さまざまな分野で、企業 ブランディングやコラボ企画のプロデュース、デザインを行うなど、ジャンルを超えて幅広く活躍。雑誌や書籍では数多くの対談でインタビュアーを務める「対 談の名手」として、またブログやツイッターが高いアクセス数を誇る情報キュレーターとしても知られている。著書に『企画の教科書』シリーズ、『初対面の教 科書』『時間の教科書』(以上NHK出版)、『小沢一郎総理(仮)への50の質問』(扶桑社)、『相手に9割しゃべらせる質問術』(PHP新書)などがあ る。
オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/ochimasato/
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