国や地域に大きな経済波及効果をもたらすとされるMICE。外国人旅行(インバウンド)増加への取り組みを行う日本政府観光局(JNTO)では、特に2010年の「MICE元年」をきっかけに従来にも増して、MICEの日本開催への誘致支援活動を積極的に推進している。

「JNTOが目指しているのは、インバウンド・ツーリズムの振興を通じて『観光立国』の実現を促進すること。特に国際会議やインセンティブ・ツアー(企業報奨旅行)は、開催や受け入れをした都市の国際的な知名度向上のほか、地域に大きな経済波及効果をもたらします。JNTOでは、国際会議観光都市(52都市)やコンベンション推進機関と連携しながら、MICEの誘致と開催支援業務を積極的に展開しています」と語るのは、JNTOの松山良一理事長である。

一般観光の7倍の
経済効果があるMICE

松山良一
日本政府観光局(JNTO)理事長

  これまでMICE経済波及効果は数字として表されてこなかったが、JNTOは今年11月、2010年に日本で開催された国際会議の経済波及効果額を算出、発表した。

  それによると同年の日本の国際会議開催件数は、前年比1.8%増の2161件、外国人参加者数は、前年比33.1%増の14万4958人。いずれも過去10年で最多となっている。これは同年にAPEC、COP10などの特殊需要が発生したという背景もある。

  そしてこれらの国際会議がもたらした経済波及効果は、前年比15.7%増の5154億円に及んでいる(JNTO独自の効果測定システムによる)。

  内訳は、直接的経済波及効果額1371億円、間接的経済波及効果額3783億円である。MICEの開催が各地域や国に大きな経済波及効果をもたらしていることが、あらためて数字の上で明らかになったといえる。