首都圏の新築物件の高騰が止まらない。ただでさえ、物件購入に二の足を踏む購入希望者が多い中、「2020年の東京五輪後、首都圏で不動産バブルが弾けるのでは」と、まことしやかな噂も飛んでいるようだ。2018年のマンション市況はどんな動きを見せるのか。不動産のプロ4人が市況を展望する。

2018年後半から消費税
アップ前の駆け込み需要が

(出所)不動産経済研究所「首都圏のマンション市場動向」
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 2018年のマンション市況はどのような動きを見せるだろうか。大きなトピックの一つは、19年10月に予定されている消費増税前の駆け込み需要だ。それが、いつ、どのくらい市況に影響を及ぼすのか。

 社団法人住宅・不動産総合研究所理事長の吉崎誠二氏は、「今回の増税では、14年に8%へ増税したときほどの駆け込み需要は起こらないのでは」と予測する。

「駆け込みが起こるとすれば、18年の後半から19年初めあたりまでだと思いますが、前回の増税前にかなり需要を先食いしましたから、それほど大きな影響はないと思われます」(吉崎氏)

 一定程度の駆け込み需要は想定されるが、その規模が前回を上回ることはないのでは、という見方は、不動産経済研究所・主任研究員の松田忠司氏も同様だ。

 「住宅購入時にかかる消費税は、建物部分にのみ課税されます。特に地価の高い都心部の物件の場合は、もともと土地代の割合が建物代よりも多く、消費税のかかる部分は少ない。加えて、物件価格の高騰が購入希望者のニーズを鈍らせている状況ですから、増税前だからといって駆け込みで購入する人たちは、そこまで多くはないでしょう」(松田氏)

 一方で、もしも一定規模以上の駆け込み需要が生じた場合には、その後の市況の冷え込みを覚悟しなければならない。

 「駆け込み需要が起これば、その後は必ず需要の反動減が起こります。今回も、場合によっては20年以降の市況が冷え込む可能性があるでしょう」(吉崎氏)

 駆け込み後の需要の冷え込みへの対策として、前回5%から8%への増税後には住宅ローン控除が拡充された。しかし、すでに住宅ローン控除は拡充の余地がないほど充実しているため、今回は同じ手が使えない。

 そこで、住宅評論家の櫻井幸雄氏が提唱するのが、適用条件の緩和だ。

 「例えば、現在住宅ローン控除は50㎡以下の物件には適用されないのですが、その規制を30㎡以上にまで下げるのです。そうすれば、1LDKにも控除が適用されるようになります。単身者向けの控除はほとんどありませんから、これは歓迎されるでしょう。他に、セカンドハウスにもローン控除を認めれば、富裕層の需要を掘り起こせるかもしれません」