「県外企業立地件数」全国第1位の茨城県。高速道路や港湾、空港といった広域交通ネットワークなど事業環境の充実に力を入れ、県税の課税免除や県独自の企業立地補助金など優遇制度の充実に努めている。現在注力しているのは、首都圏からの本社機能の誘致。圏央道の開通によってますます充実する茨城県のポテンシャルを探った。

 企業が拠点の新設や移転を考えるとき、どのような項目を重視するのだろうか? 「茨城の産業イメージアップ事業(マーケティング調査)」(2017年、帝国データバンク調べ)によると、「本社・自社拠点との近接性」が最も多く、次いで「市場や取引企業への近接性」「港湾・高速道路等の交通網の整備」と続く。また、茨城県のイメージを尋ねたところ「全国有数の産業集積」「充実した高速道路ネットワーク」という回答が多かった。

 この企業の重視項目を満たしているためか、同県に対するイメージ通り、茨城県は過去10年(07〜16年)、工場立地面積、県外企業立地件数の2項目で、全国1位を記録している(経済産業省「工場立地動向調査」(電気業を除く))。

 最近も、大手企業の進出や拠点拡充が相次いでいる。日野自動車は、同社のグローバル戦略を担うマザー工場である古河工場(古河市)の全面稼動を17年1月に開始。JR東海は、リニア中央新幹線の関連部材の製造拠点を茨城中央工業団地に整備。ファナックは同年7月に、つくば明野北部工業団地の約28.7ヘクタールの敷地に、産業用ロボットを生産する新工場を建設。アイリスオーヤマは、LEDの生産体制を強化するため、国内9工場目となるつくば工場を同年5月に着工、18年の操業開始を予定している。

 他にも、15年には建設資材メーカー大手の岡部がつくば下妻第二工業団地内に茨城工場を、雪印メグミルクは14年より、同社最大規模の阿見工場を稼働させている。

茨城県の企業誘致・本社機能移転への取り組み
大井川和彦 茨城県知事

 本県は、圏央道をはじめ、常磐道・北関東道、茨城港や鹿島港、茨城空港など陸海空の広域交通ネットワークの整備等による優れた事業環境を有しており、近年は、多くの企業に立地いただいております。

 今後も本県独自の企業立地補助金や茨城産業再生特区における税制上の優遇措置などを積極的にPRし、さらに多くの企業から産業拠点として本県を選んでいただけるよう取り組んでまいりますとともに、私の公約の一つでもある「新しい豊かさ」を実現するため、新たな成長分野の企業をターゲットに、研究施設やIT関連企業の誘致、本社機能の誘致にも力を入れてまいります。

 本県での新たなビジネス・事業展開を心よりお待ちしております。