「i-Construction」の普及は始まったばかりだ。しかしニコン・トリンブルのi-Construction対応製品を普及させる先導役であるサイテックジャパンは、すでに「その先」を見据えた活動を始めている。同社の濵田文子取締役ゼネラルマネージャーにi-Constructionの将来像を聞いた。

 GPS(衛星測位システム)の利用技術先進企業として1978年に創立された米国トリンブル社は、測量、建築、農業、土木、マシンコントロールなどの位置情報活用分野で世界的評価の高い企業。そのトリンブルとニコンの合弁企業として国内で同社の製品やサービスを提供しているのがニコン・トリンブルだ。

 同社は、急速な市場拡大が見込まれるi-Constructionに関連した製品・ソリューションの販売とサポートの拡大のため、専門会社を設立。2017年9月から「サイテックジャパン」をスタートさせた。

 濵田文子取締役ゼネラルマネージャーは、「日々多忙な建設会社の方々が、i-Const ructionに対応するためには事前教育も大切ですが、まずは実践投入を行い、現場・現物・現実で効果の把握をしていく事が重要です。少しでも早く現場で実稼動ができるように、ハード・ソフトの導入とサポートの全力支援を行う事が当社の使命です」と設立の趣旨を語る。

 

i-Constructionの導入で
土工のコストは劇的に下がる

サイテックジャパン 濵田文子 取締役
ゼネラルマネージャー

 i-Constructionに対する建設会社の要求は同一ではないし、リテラシーにも差がある。

「そこは、お客さまと積極的に対話が必要です。i-Construction関連機器を導入しただけでも、ある程度のコスト削減効果が見込めますが、お客さま自身i-Const ructionや情報化施工機器をどの現場で、どう使うかを把握できるようになると、目に見えて生産性が上がり、コストは劇的に下がります」

 例えばi-Constructionの現場には丁張りがない。そのため重機オペレーターが仕上がりの確認のために、頻繁に重機を乗り降りする必要がなくなり、本来の操縦に集中できて作業効率が向上する。重機に測量機器が付いたことで、現場での測量が不要になり、測量担当者は他の現場で仕事ができるようになる。こうした体験を重ねると、経営者にとどまらず現場も生産性の向上を体感するようになり、モチベーションのアップにつながる。

「この10年の経験から、i-Const ructionを導入すると、土工事に関しては確実にコストが減らせると断言できます。でもここがゴールではありません」(濵田ゼネラルマネージャー)