「マンションは管理を買え」とよくいわれるくらい、マンション管理は分譲マンションの資産価値を左右する重要な要素だ。それだけに、一筋縄ではいかない問題も多く発生する。管理組合の抱える問題や運営のヒント、管理会社との付き合い方について、マンション管理に関する公益法人であるマンション管理センターに話を聞いた。

 分譲マンション管理組合の運営を支援している財団法人マンション管理センターには、管理組合から毎日多くの相談が寄せられる。ここ1年で目立ったのは、やはり震災関連だ。2011年3月に震災関連の専用窓口を開設して以来、12年1月末までに168件の相談があった。

 内容は、「地震で破損した箇所を補修するのは個人負担か組合負担か」「建物診断は誰に依頼するのか」「電気温水器が転倒して下の階に漏水した」などさまざまだ。

震災で判明した
複雑な問題

「電気温水器が転倒したケースでは、それが専有部にあるなら、原則的にはその部屋の区分所有者が補修費用を負担します。ただ、今回の地震ではマンション内の多くの部屋で同時に被害が起きました。そうなると管理組合が全体の問題として扱うべきという考え方もある。また設置業者の責任もあるかもしれない。事情が複雑でアドバイスしづらい問題です」とマンション管理センターの山本節彦・管理情報部部長は語る。

 震災関連の相談のなかには、即答できない難しい問題が多いという。管理組合として、あらかじめ建物診断で建物の状況を把握しておいたり、災害時の対応を詳細に決めていたりすれば、問題が複雑化することは防げたかもしれない。平常時であれば見えなかった問題が、震災によって浮かび上がってきたのだ。

 こうした複雑な問題に対して同センターでは、マンション管理士やコンサルタントなどの専門家と相談するなどして、状況をより詳しく把握してから対策を立てることを勧めている。