ティーケーピー(以下、TKP)が貸会議室事業をスタートしたのは2005年。以来、インターネットで空室確認や予約ができる「TKP貸会議室ネット」を中核として、急成長を続けてきた。全物件が「駅から徒歩5分以内」という利便性と、一人1時間当たり200円程度という低価格を武器に、全国で780室5万1174席の会議室を直営。会員企業数は約7万5000社に上る。

TKPではラグジュアリーなホテル内の会場から、大規模なカンファレンスセンター、リーズナブルな会議施設まで、さまざまなグレードの会場を提供。利用者は、予算と用途に合わせてベストの会場を選ぶことができる。

 現在、同社が展開するラインアップは、少人数向けの「スター貸会議室」、複数の会議室を持つ「ビジネスセンター」、ホテルライクな「カンファレンスセンター」、最高品質の多目的ホール「ガーデンシティ」の4種類(図)。小規模の会議から、研修・セミナー、イベントまで多様化する顧客ニーズに応え、予算や用途に合わせた最適解を提供している。

 河野貴輝社長はこう語る。

「当社の貸会議室ビジネスは『ビルの空きスペースを有効利用しよう』という発想から生まれました。これが第1のイノベーションだとすれば、第2のイノベーションは、格式の高いホテルの宴会場を企業向けのイベントホールとして再生し、低価格での提供を実現したということ。このまったく新しいニーズを掘り起こしたのが、ガーデンシティシリーズです」

 その第1弾として、昨年4月、旧ホテルパシフィック東京の宴会場を利用した「TKPガーデンシティ品川」をオープン。さらに横浜・京都・仙台・札幌・広島・福岡でも開業し、ガーデンシティの全国展開を進めている。

「ホテルの宴会場や料理を格安で提供できるのも、サービス内製化で稼働率を向上し、原価を低減できたからです。ハード・ソフトの両面からホテルを再生することで、破格の低価格を実現できました」

NY、上海でも開業し
海外戦略を強化

河野貴輝
ティーケーピー
代表取締役社長

 TKPの強みは、全国津々浦々に直営会議室を展開するハード力と、ケータリングや宿泊手配などのサービスをワンストップで提供できるソフト力、そして、現地に配置された営業マンのサービス力にある。今後は「TKPガーデンシティ品川」で培ったノウハウを生かし、ホテル品質のサービスの横展開を進め、企業の多様なMICEニーズにも対応していくという。

 昨年8月、上海にTKP上海カンファレンスセンターをオープン。今年8月には、ニューヨーク6番街にもカンファレンスセンターを開業する予定だ。

「アジアでは上海に続き、香港・シンガポールでの開業も予定。今後は海外インフラを強化し、ワールドワイドにビジネスを展開したいと考えています」

 同社の急成長はさらに加速していくことになりそうだ。