グローバル競争の只中で、多くの日本企業が取り残されているように見える。上場企業163社の調査をベースに、日本企業の組織能力に警鐘を鳴らす髙木晴夫慶應義塾大学大学院教授に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド社経営企画室 石田哲哉)

――日本企業の組織能力に対する危機感とは?

 日本の特に伝統ある大企業は、これからグローバルな競争に勝ち残っていくことができるのだろうか? という危機感です。

 さまざまな会社の新任取締役研修で講師を務めるたび、あるいは、経営幹部の方々とディスカッションを行うたび、また、経営者の方々とお話する機会を得るにつけ、漠とした不安を感じざるを得ません。

 グローバルに事業を展開する会社の多くで、細分化された多数のビジネス別組織が部分最適に陥り、全体最適の視点が持てず、役員レベルで相互に議論する機会はまったくと言ってよいほどなく、組織間の壁が厚い。加えて、現状を打開するような抜本的な解決策や新しいビジネスモデルを、誰も提案できていない。そして、この問題の発生と解決について、経営として具体的な手が打たれていません。