第3回では、ビジネスパーソンが決算書を読む力、そして決算書を加工する力についてお伝えしてきました。第4回では、ビジネスパーソン自身が貢献社員になるために意識すべき数字についてお伝えします。

売上至上主義の時代は終わった!

 営業職の方々を中心に、多くのビジネスパーソンが評価される数字といえば「売上」や「新規契約件数」を連想されるのではないでしょうか。もちろん、これまでも多くの会社で、この2点が評価軸の中心となってきました。

 たしかに、これらは売上や件数の規模を求める高度成長時代には、合致していた方法だと思います。

 しかし、成熟期に入っている現在の環境下においては、合理的な評価軸とは言いづらくなってきているのも事実。

 では、量より質を求める時代に突入した現在の企業経営スタイルで、ビジネスパーソンは自分の評価軸をどこに置けば良いのでしょうか?

 そのキーワードとなるのが「限界利益」「貢献利益」という2つの利益です。

「限界利益」と「貢献利益」を意識して行動する

 これについては、第3回でお伝えした「変動損益計算書」を応用して考えてみましょう。

 変動損益計算書では、会社で発生する経費を変動費(売上の増減に伴って増減する経費)と固定費(売上の増減に関係なく一定額発生する経費)に区分します。

 そして、売上から変動費を差し引いた数字を限界利益、限界利益から固定費を差し引いた数字を経常利益として計算します。

 ここでの変動費は、単純に材料や商品の仕入れだけでなく、売上や仕入に連動して発生するロイヤリティや販売手数料等も加えて計算します。 

 では、具体的な数字で2人の社員の営業成績を比べてみましょう。

  ・社員Aの営業実績:売上1000万円、変動費600万円、限界利益400万円
  ・社員Bの営業実績:売上800万円、変動費300万円、限界利益500万円

 この例で見た場合、従来の売上だけによる評価で考えると、あくまで社員Aが優秀と言えます。しかし、会社としては売上の「量」ではなく利益の「質」を評価軸に考えますので、最終的にどれだけの利益を残せるかが評価ポイントです。

 このため、限界利益の面で考えると、貢献度合いが高いのは社員Bということになります。

 このように、ビジネスパーソンとしては、目線を売上だけにおくのではなく、限界利益率が高く、なおかつ限界利益額を獲得できる商品・サービスを重視して、仕事に取り組む必要があります。