宝くじ、「いくら当たっても辞めない」!?

 宝くじで1億円当たったら……

 この4月に発表された「第25回サラリーマン川柳コンクール」のベストテン。1位に輝いた句は、

 「“宝くじ 当たれば辞める”が 合言葉」

 「よし、1億当たったら辞めるぞ!」と、おそらく誰もが一度はそんな夢想を抱いたことがあるのではないでしょうか。

 何を隠そう、私もそのひとりです。若い頃には「宝くじが当たったら、仕事を辞めちゃおう」。半分真剣に考えていたことさえあります。といっても、実際のところは面倒くさがり屋の私。ズボラな性格が幸いし(?)、宝くじを買いに行くことはついぞありませんでした。結果、妄想は現実のものとならず、今に至っています。

 みなさんはどうでしょう?宝くじで3億円が当たったらどうしますか。仕事は続けますか、それとも……?実は、あるアンケート調査で「宝くじ、いくら当たったら仕事を辞めますか?」と質問したところ、1000人中513人が「いくら当たっても辞めない」と答えたのです。

 この結果は、私にとって驚きでした。「所詮はあぶく銭。遊んで暮らせるとなっても、仕事を辞めようと考える人は少ないんだなあ」と。つまり、大半の人にとって、仕事とは生活手段以上のものなのでしょう。仕事に対して「カネ以上の価値」を見出している、期待しているということのようです。

 「カネには替えられない価値がある」

 「カネよりもずっと大切なものが世の中にはある」

 特に景気が低迷して以降、こうしたフレーズをよく耳にするようになった気がします。仕事でいえば、「やりがいを追求できる」「自分らしさを発揮する」「人とのつながりが得られる」。これらが「カネには替えられない価値」にあてはまるのでしょうか。

 こうした言いかた自体は一見美しく、好ましいことのように思えます。もちろん、私だって診療にたずさわるなかで患者さんの状態が少しでもよくなると嬉しい。金銭には替えがたいやりがいも感じます。

 しかし、気になることがあります。