爽やかな風が吹き抜ける仙台市郊外に、画期的なスマートタウンが誕生した。積水ハウスが展開する「スマートコモンシティ明石台」は、同社が掲げるキーワード「SLOW&SMART」を具体化し、環境に配慮した“サステナブルなまちづくり”を実現している。

まち全体が発電所
となるスマートタウン

2011年2月から、積水ハウスの住宅は、EV(電気自動車)コンセントを標準装備にしている。

 「スマートコモンシティ明石台」の中心となるのは、「グリーンファースト ハイブリッド街区」。ここには、太陽電池、燃料電池、蓄電池の3電池をHEMSで自動制御する世界初の電力供給システムを装備した住宅が集まる。

 同住宅の特徴は、日常は快適に暮らしながら光熱費を削減でき、非常時には自動的に電力供給システムが稼働し、安定した電力を継続供給できることにある。電力使用の優先順位は、燃料電池→太陽電池→蓄電池→商用電力(電力会社から購入)の順番になっており、通常時は、太陽電池発電分の余剰電力を“売電”することも可能になる。

 3電池をコントロールしているのは、HEMSと呼ばれるホームエネルギーマネジメントシステム。自宅のエネルギー使用状況もパソコンやタブレット端末により、リアルタイムに見ることができる。

 今後、「グリーンファースト ハイブリッド」は全戸数の2割〜3割程度を占める予定だが、他街区の住宅も太陽電池などが標準搭載されており、まち全体で省エネ・創エネに貢献することになる。積水ハウスの試算によると1年間のまち全体の発電量は、電力消費量の約1.7倍の2508MWhとなり、近隣世帯へ1039MWhもの電力供給が可能になるという。文字通り“まち全体が発電所”となるわけだ。

防災に配慮し
コミュニティを重視する

 スマートコモンシティは、「安全・安心」「健康・快適」「エネルギー」「見守り」の4つのキーワードを軸に構成されている。省エネ・創エネに加えて充実しているのは、防災および防犯対策だ。防災コミュニティセンターを核とした非常事態対応を実現。非常時のために居住者の食料や水を確保する備蓄倉庫を備えるほか、衛星通信システムを利用して安否確認を行う仕組みが構築される。防犯対策としては、警備会社の待機所を分譲地内に配置、日常的な巡回警備が行われる。

 また、同社が独自に開発した制震システム「シーカス」(国土交通大臣認定)を積極的に導入し、住まいの安全・安心を図る。さらに、地域コミュニティを「ひとえん」と称し、積極的に豊かなコミュニケーションづくりを実施するのも特徴だ。「隣人祭り」などのイベントを通じて交流のきっかけをつくり、場づくりや組織づくりを推進することで、コミュニティの育成をめざしている。