「ゆとり返済」の危険性に最も早く警鐘を鳴らし、かつて「繰り上げ返済・借り換えブーム」の仕掛け人となった、ファイナンシャル・プランナー・浅井秀一。平成24年7月、住宅ローン金利が史上最低水準になったいま、「最大の借り換えチャンス」ともいうべき状況がやってきていると著者は主張します。固定金利どうしの場合、いま返済している住宅ローンより実質金利が「0.3%程度」以上低ければ、大きな借り換え効果が確定するとのこと。「最大の借り換えチャンス」がやって来たいま、では借りている住宅ローンをどうすべきか、5回にわたって解説します。

住宅ローンの「借り換え」で、可処分所得の減少分を取り戻そう!

浅井秀一(あさい・しゅういち)
[ファイナンシャル・プランナー(CFP)]
1964年、愛知県生まれ。福井県高浜町育ち。早稲田大学第一文学部卒業。1988年に学生では初の日本FP協会の会員となる。現在は、主に個人のプランニング業務を中心とする、(有)ストックアンドフローの代表取締役として活躍中。 著書には、借り換え・繰り上げ返済ブームをおこしベストセラーとなった『住宅ローンは、いま借り換え・繰り上げ返済しなさい!』(ダイヤモンド社)、『図解わかる住宅ローン〈2012‐2013年版〉』(新星出版社)、『佐藤江梨子と浅井秀一のいちばんやさしいマネープラン』(日本経済新聞社)などがある。

  長引くデフレの影響で給与が増えないどころか、社会保険料の引き上げ(この3年間で、年収の1.5%相当の負担増!)によって、可処分所得は低下を続けています。
  さらに、子育て世代に対しては、年少扶養控除の廃止による増税と、旧子ども手当の減額というダブル・パンチも民主党政権はお見舞いしてくれました。

 そのうえ、マニフェストになかった消費税率の引き上げを断行。平成26年4月に8%、翌27年10月には10%へと引き上げられる見通しとなっています。

 どうして、このようなことになってしまったのか…。とにかく、民主党政権になってから、家計にとって、まったくいいことがなかったのは明白でしょう。

 しかし、嘆いてばかりいても、現状は好転しません。家計を防衛するために、できることはすべて実行に移すことが大切です。なかでも住宅ローンを返済している人にとっては、ほとんどのケースで、いま、住宅ローンの「借り換え」を行うことが最も効果的な方法になるはずです。

  現在の住宅ローン金利は、史上最低といえる水準にまで低下しています。
  変動金利型は「ゼロ%台」の金利が当たり前の状況ですし、固定金利選択型ローンのうち、当初10年間の金利を固定にする「10年固定」でも1%台前半の金利を提示する金融機関は珍しくありません。
  また、全期間の固定金利型ローンも実質金利で2%強の水準
となっています。

  いま返済している住宅ローンとの金利差が、0.5%~1%程度ある場合、ローン残高や残りの返済期間によっても異なりますが、年間で5万円~20万円程度は返済額を減らすことができます。
  また、固定金利どうしの借り換えなら、実質金利の差がわずか0.3%程度であっても、今後の返済総額では100万円前後の負担軽減が十分に期待できるでしょう。

 住宅ローンを返済している人は、「史上最低金利」という、この最大のチャンスを逃してはなりません。