ものが売れない時代の営業マンを支援するために、NIコンサルティングは、長期間にわたって安定的に売り上げを生み出す営業手法「ストラテジック・セールス」を提唱する。さらに、それを実践するためのシステムとして、営業支援システム「Sales Force Assistant」を提供している。

長尾一洋 代表取締役

 どんなに優れた商品でも、どんなに腕利きの営業マンでも、受注率100%はあり得ない。どの会社でも、受注率よりも圧倒的に大きい失注率を抱えている。この「失注」に注目したのが、NIコンサルティングだ。

「大事なことは、失注を単純に捨ててしまわないこと。失注客もダムにためて財産にし、長期的な営業戦略の中に組み込むことで、結果として受注率を高め、失注客を受注客に変えられるのです」と、代表取締役の長尾一洋氏は語る。

 長尾氏が開発した営業手法「ストラテジック・セールス」は、情報を蓄積して活用するデータベースセールスの一種で、“ダム”と“観覧車”というユニークなデータ活用形態を提案する(図1)。

図1 ストラテジック・セールスにおける“ダム”と“観覧車”拡大画像表示

 ダムとは、失注客を含めて、顧客および潜在顧客の基礎情報を蓄積しておくデータベースだ。一方の観覧車は、購買確率の高い顧客・案件を見極めて、期間管理を伴う購買サイクルを回すことである。

 その場では売れなくても、顧客の事情が変わったり、ニーズに応える再提案ができたりすることがある。ストラテジック・セールスとは、長期にわたって安定的かつ高い確率で受注、売り上げを生み出し続けていく営業戦略なのである。

戦略的営業手法の
実践を支えるSFA

 ダムにはできるだけ多くの情報が欲しい。しかしダムや観覧車が大きくなると、人の力でコントロールすることは困難になる。そこで、ストラテジック・セールスを実践するには、ITの支援が不可欠となる。

「従来のSFA(Sales Force Automation)は、営業マネジャー向けの管理ソフトでした。しかし、日本の営業マンが求めているのは自動化ではなく、Sales Force Assistant(アシスタント)なのです」と長尾氏は強調する。

 同社が開発した営業支援システム「Sales Force Assistant」は、営業マンの気付きを促すことを大きな役割としている。例えば、訪問準備アシスト機能は、翌日予定している訪問先について、過去の履歴の件数などをプッシュ通知する。履歴の中にクレーム情報があった場合、その件数と内容を通知する機能もある。現在自分が取り組んでいる案件と類似したものを検索し、社内の成功事例を教えてくれる機能もある。

 こうしたアシスタントの機能はアニメーションで擬人化されており、性別やキャラクターを利用者が選択できる。多くの会社がコスト圧縮で人員削減しており、営業雑務を担ってくれる人間は少ない。資料探しも提案書コピーも自分でやりながら、営業成績を上げなければならない営業マンを支援したいという思いも、アシスタントの擬人化には込められている。