「健全な青少年の育成」の名のもとに、店舗型性風俗をはじめとした「あってはならぬもの」は街から姿を消していく。しかし、その裏では「ミテコ(未成年の少女)」の“市場価値”の高まりとともに、より一層「あってはならぬもの」が地下化し、その構造が強化される皮肉な現状が見えてきた。そこに登場した新たな性風俗産業、通称「援デリ」。
社会学者・開沼博は、繁華街で生計を立てる28歳の敏腕スカウトマン赤坂に密着した。10年以上にわたり、穏やかな日常と「あってはならぬもの」をつなぎ続けた彼が「援デリ」の実態を赤裸々に語る。
私たちが見ているようで見ていない、もしくは見えない“ふり”をしている現実とは何か。第6回に続き、ひとりのスカウトマンの姿を通して、漂白された繁華街の真実に迫る。次回更新は9月11日(火)予定(隔週火曜日更新)。

 “並クラス”で40万円、トップクラスは月収100万超

 赤坂は自身の「ビジネスモデル」をこう説明する。

「箱ヘル(店舗型性風俗)にせよ、デリヘル(無店舗型性風俗)にせよ、客は1時間ほどのプランで1万5000~2万円くらいを払うのが基本。それに指名料とかつくわけです。その中で女のコの取り分は半分くらい。7000~1万円。スカウトにはその15%ぐらいというのが相場です。店との交渉によって10~20%ぐらいは幅があって、それは何人も入れているとか、勤怠管理しっかりしているとか、スカウトの実績や店との力関係で決まる」

ソーシャルメディアが生んだ未成年少女の闇 <br />高付加価値商品に巣食う「援デリ」「ビジネスモデル」を語る28歳の敏腕スカウトマン赤坂

「箱ヘル、デリヘルどっちも(スカウトしたコを)入れますよ。箱ヘルは繁華街に店があるんで、客が一日どのくらい来るかっていうだいたいの数は安定する。女のコと従業員を合わせて15~20人いる店での月の売上は3000万円くらいでしょうかね。家賃、経費、従業員人件費諸々かかりますが、安定しているから、女のコにもし客がつかなくても出勤してくれればいくらはあげますよという『保障』をつけてくれる」

「一方で、デリヘルは店とか時期によって売上にばらつきがある。あと、当然、家とかホテルに派遣するから色々トラブルも発生しやすいですよね。店舗だったら揉めてもすぐに助けに行けますけど。でも、デリヘルのほうが数は圧倒的に多いですから、デリヘルに紹介することも多い。その時は勢いある店に営業するんです。向こうもできるスカウトを求めていますから、実績あればすぐ使ってもらえる」

「そうすると、だいたい“並クラス”の女のコで彼女たちの手元に残る稼ぎは平均1日2万×出勤20日で月40万くらい。そうすると、スカウトバックは5~6万くらいですかね。もちろん、稼ぐコはすごい稼ぎますよ。100万超えるとか。見た目も性格もいいトップクラスのコだと、月30~40本指名取るコもいるんです。そういう時は、ひっきりなしに客が入る状態だし、指名料は女のコとスカウトの給料にそのまま加算されることもある。この場合、スカウトバックも10万超えてきます。今はないですけどね、昔、景気よかったときは20~30万のスカウトバックをもらうこともありました」