前回はいかにエラい人の「持論」が恐ろしいかについてお話しましたが、今回は「強い人事とはなにか」「何を武器に闘えば良いのか」をお伝えしたいと思います。グローバル化、少子化、就職率の低下の中、「人事2.0」の切り拓き方とは?経営者、人事部、起業志望者、注目連載の第2回!

普遍的な「原理・原則」を持って対峙せよ!

 当たり前ですが、会社のリーダーたちは優秀な方が多いわけですから、彼らが持っている「持論」が正しい場合も沢山あると思います。ただ、誤った「持論」に対しては、人事部、人事担当者はきちんと立ち向かい修正をしていかなくては、企業にとっても社会にとっても損害を与えることになります。

 しかし、そうするためには人事は何らかの武器を持たなければなりません。素手で、現場リーダーや経営層に立ち向かっても、なかなか説得するのは難しい。そこで、武器となりえるのが、科学的手法等の普遍的な「原理・原則」です。

 例えば、人のパーソナリティを5つの要素で表現するヒューマンロジック社のFFSという適性検査があります。これを使った大手電機メーカーでの研究で「上司は自分のタイプによく似た部下を高く評価する」という傾向が証明されました。

 このような科学的な裏づけ、根拠があれば、「自分は見る目がある」と思っていた評価者の誤った「持論」を、なんとか修正することができるかもしれません。こういった心理学や組織論等の行動科学などをベースとして「原理・原則」を学び、用いていくことがこれからの人事には必須となります。

 人事部が「原理・原則」という武器を用いて強くなることで、組織人事戦略において、最も重要である「一貫性」を貫き通すことができるようになります。「組織は戦略に従う」というように、遂行したい事業戦略によって、理想の組織や人事戦略は変わります。