日本には昔から「会社は大きくするもの」「目指せ!右肩上がり経営」という考え方があります。しかし、この100年に一度といわれる不況の中、安易な「拡大・成長戦略」では、会社は疲弊し、経営者はもちろん、働く社員も幸福感を得られません。そもそも、「大きな会社=儲かる会社=いい会社」なのでしょうか?税理士の視点から、この問題を解説していきます。

会社の稼ぐ力は、
「1人当たりの粗利」で見る!

 起業志望者や、起業したての経営者から見て、「うらやましい」と思う存在があります。それは、「大きな会社」です。

 私も何年か前までは、大きな会社を見るにつけ、「いいなぁ。うらやましい」と思っていました。しかし今、そんな気持ちはなくなりました。

 その理由は、「大きくて、勢いのある会社であっても、実はそれほど儲かっていないことが多い」からです。もちろん大きな会社でも、「稼ぐ力」を持っており、本当に儲かっている会社もあります。しかし、そんな会社は多くありません。

 では、「会社の稼ぐ力」とは、どのように判断すればいいのでしょうか?
本当に儲かっているかどうかを見分けるために、私はある指標を使っています。

 それは、「(従業員)1人当たりの粗利」です。

 粗利という言葉は、みなさん聞いたことがあるかと思います。「売上」から、「原価」(売上を上げるために必ずかかる費用)を引いたものですね。※粗利のことを、会計用語では「売上総利益」といいます。

 例えば、コンビニエンスストアなどの小売業であれば、「売上高-仕入れ金額」が粗利になります。