失われた20年を経ても、日本企業や日本は変われないのだろうか?フル・グローバリゼーションが進行するなかで、守旧派と戦いながら会社や社会に新たなルールを敷くのは容易でない。しかし、そのための戦略や組織の変革を“実質的に”主導できるのは、課長クラスのミドルリーダーに他ならない。そのために不可欠な「実行力」は若いうちからこそ鍛えられる。全5回でお送りする連載第1弾!

若手・ミドル世代こそ学びたいリーダーシップ

「正しい」改革案であれば、みなが賛同してくれるほど、社会は単純ではない。

 正しい答えを導き出す「知性」や「発想力」とともに、それを実現するための利害調整力、多数派工作力、権力闘争力が必要になる。

 失われた10年は、いつの間にか20年になり、今の課長クラス前後の若手・ミドル世代で、会社や社会の錆びきったルールを変えていかなくてはと焦燥を感じる人は多いだろう。フル・グローバリゼーションが進行するなかで、守旧派と戦いながら新たなルールを敷くには、その「実行力」が不可欠である。

 私は、そうした気概ある若手・ミドル世代に、人間のダークで醜い部分を含め、現実経営で「実行力」となるリアルなリーダーシップ、リーダー力の鍛錬・習得の要諦を伝えたい。

 そもそもリーダーシップは、管理職になった後に鍛えるものではない。若い課長クラスのうちから、自分が社長のつもりで決断し、実行するスキルを磨くべきなのだ。それも、リアルにタフな状況において。若いときほど、失敗のコストは小さく、同時に、失敗からの学習能力は高い

 そこそこの会社で課長クラスが決断できることなんて、たかが知れているじゃないか。そう思う人もいるかもしれない。

 ただし、よく考えてもらいたい。実は課長クラスこそが、戦略や組織の変革を“実質的に”主導するキーなのである。