連載最終回は、予測市場に関心を持った人が、実際にその導入に取り組む際にどうしたらよいか、仮想のケースを使って考えてみよう。
 

予測市場を始めるために

 連載最後の今回は、この連載や連載で紹介した『普通の人たちを予言者にする「予測市場」という新戦略』を読んで予測市場に関心を持った読者の方が、実際にその導入に取り組むうえで参考になることをまとめたいと思う。まとめるためには、実際に予測市場を導入する仮想のケースを作成するのがよいと思われるので、以下の設定を考えよう。

ゲーム会社のマーケティング担当が、宣伝戦略立案のために、クリスマス商戦向けゲームタイトル数本の販売開始後4週間の販売予測を行う。予測テーマは下記の2タイトルとする。
「とびだせケモノの街」
「アクティブ・サッカー2013」

 ゲームに限らず、コンテンツ販売における広告宣伝は、売れる見込みが高いものに費用をかけるのが合理的であるので、各ゲームタイトルの販売予測は極めて重要である。

 また、一般的に、ゲームの売上は予測が立ちにくいとされる。販売するタイトルのほとんどは赤字で、大ヒット作となるタイトルでその赤字を補う会社がよくあるという。というより、中小のゲームメーカーではヒットに社運がかかっているケースが珍しくないと聞く。

 国民的な原作漫画を下敷きにしたゲームでも、ゲームデザインがイマイチで評判が上がらず、販売がさっぱりということもある。一方で、最初は無名のタイトルでも口コミで評判が伝わり、意外なヒットとして売れるケースもあるというからわからない。