勤怠管理にはさまざまな側面がある。従業員の多様なワークスタイルをサポートすることで、業務効率やモチベーションの向上を期待することもできる。また、残業時間の抑制により、人件費コストの削減を目指す企業もある。その一方、昨今では長時間労働やサービス残業に対する社会の目は厳しさを増しており、労働行政も同様の方向に進んでいる。そこで、コンプライアンスの観点から従業員の勤怠管理を見直す企業が目立つ。いずれにしても、企業は規模の大小を問わず喫緊の経営課題として勤怠管理に取り組む必要がありそうだ。

「人」の見える化なしに、経営の高度化はない

 ITの進化により、モノの動きは極めて精緻な把握が可能になった。「いま、どこで、何が、どのような状態にあるのか」、「それは、収益にどのような影響があるのか」が手に取るように分かる。製造業、サービス業を問わず、商品の流れや在庫状況などの見える化を追求する企業が増えている。また、「見える化を進めよう」という経営者の意識も高い。

 翻って、「人」についてはどうか。従業員の働き方の詳細な見える化を実現している企業は少数だろう。人とモノを同列に論じることはできないが、いずれも重要な経営のリソースである。人の領域における見える化を抜きにして、経営の高度化は考えられない。コンプライアンスを確立するため、あるいは業務効率を向上させるために、企業ができること、なすべきことは多い。

 そのための手段の一つがITを活用した勤怠管理ソリューションである。例えば、小売りや飲食などのチェーン店であれば、各店舗の勤務時間や時間当たりの生産性といった指標は数値で示すことができる。こうした指標は、PDCAサイクルの基盤として活用できるはずだ。

 あらゆる業種業態で同じことが言える。勤怠管理システムを用いて各部門の働き方をグラフ化し、他の部門や前年の同時期と比較してみる。こうした比較や分析などにより、成功事例の発掘や横展開が容易になる。あるいは、より効果的なインセンティブ制度の設計に生かすこともできるだろう。