横浜市は3月26日、市内に住む15~39歳の8000人以上が「引きこもり状態にある」とする推計人数を初めて公表した。

 今回の報告については、市が「引きこもり問題」に着目して、初めて調査に取り組もうとした点は評価できる。ところが、今このタイミングにおいてもなお、調査対象者は39歳までとされ、40歳以上の深刻な実態は置き去りにされていた。結果的に、「引きこもり」を語る上で偏った推計が発表されるという残念なものになってしまった。

引きこもり8000人、
予備軍5.2万人、無職5.7万人と推計

 調査は、昨年8月27日から~9月17日にかけて、住民基本台帳から無作為抽出した市内の満15歳~39歳の男女3000人を対象に調査票を郵送。調査員が訪問回収したところ、1386人から有効回答があった。

 この方法は、2010年度に内閣府が実施した「引きこもり実態調査」と同じであり、面接調査よりは正直に回答しやすいといわれている。

<ひきこもり群>の定義は、

<ふだん家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する>
<ふだんは家にいるが、近所のコンビニなどには出かける>
<自室からは出るが、家からは出ない>
<自室からはほとんど出ない>

 という現在の状態が<6ヵ月以上続いている>と回答した人のうち、現在の状態になったきっかけが<統合失調症または身体的な病気>や<自宅で仕事><妊娠・出産・育児><家事>をしている人は除かれる。

 結果は10人(男性6人、女性4人)で、有効回答数の0.72%。市の15~39歳の人口が113万6000人なので、<ひきこもり群>は約8000人と推計された。

 これも、内閣府と同じ定義である。

 また<ひきこもり親和群>についても、こう定義している。行政用語にするとわかりにくいので内閣府のときも説明したが、言い換えれば、<ひきこもり予備軍>のことだ。