前回は誰が聞いても同じ行動がとれるようにする「MORSの法則」を紹介した。今回は、なかでもとくに重要な「M=計測できる」と「S=明確化された」の要素を満たし、伝えたい言葉を共通言語化する方法を、事例を示しながら伝授しよう。

かっこいい言葉も、部下に伝わらなければ意味がない

 あなたの言葉が共通言語であるためには、「MORSの法則」の中でも、とくに「M=計測できる」と「S=明確化された」の二つの要素が大切になります。

 すなわち、できるだけ時間や回数といった数字を入れ、固有名詞なども使ってきめ細かく行動を指示することが必要です。

 しかし、これを意識すると、言葉はどうしても泥臭くなります。かっこいい指示を与えたいと考えているリーダーには、違和感があるかもしれません。でも、そのかっこいい指示は、部下に届いていなければなんの意味もありません。

 私がアドバイスを行っている企業においても、「M=計測できる」および「S=明確化された」を意識した、共通言語化を図っています。二社の例を見てみましょう。

 全国に展開するアクセサリー店では、「お客様のことを良く知る」ことや、「お客様のニーズを予測する」ことが奨励されていました。経営者は、このミッションを浸透させるべく、朝礼や社内報でたびたび語っていました。しかし、どうも徹底できていないということで、我が社に相談が持ちかけられました。

 そこで、アクセサリー店の社員たちにヒアリングをしてみると、社員一人ひとりの理解と、経営サイドの望んでいることの間には、相当な差があることがわかりました。