国民医療費の増大に伴い、いま予防医療が注目されているが、そこには保険診療の壁が立ちはだかっている。壁の向こう側には何があるのか。この2月に銀座にオープンし、予防医療のランドマークを目指す健康院クリニックの、ワンストップ医療の一端を紹介する。

医療法人財団 健康院
理事(事業統括)
工学博士
東京工科大学客員教授
重松典宏

 医療保険で高度な治療が受けられる日本の制度は素晴らしく、世界に誇れるものである。しかし、欧米に留学・病院に勤務して最先端医療を学んだ医師たちが、日本に帰国して頭を悩ませるのが保険診療の壁だという。

 医療技術の進歩は目覚ましい。だが、日本の新医薬や医療機器の承認審査は海外と比べて長くかかるため、海外との格差が生じているのである。

 例えばCTやMRIといった画像診断。保険適用の場合、基本的に診断がつかないと、画像検査を受けることができない。

 しかし、なんとなく体調が優れないなど、病気と診断されなくとも健康に不安を持つ人は多い。自由診療では、これらの診断がつかない人にも医師とよく話し合った上で、予防としての画像検査を行うことができる。

 また、保険診療では薬は承認された効能と用量に従って処方されるが、自由診療では医師の処方権、裁量権に基づき、必要に応じた適用外使用の選択肢がある。例えば漢方処方では、保険適用される処方は約150種であるが、最適で、より高品質な処方を提供するため、自由診療が行われる場合がある。

 なかでももどかしく感じられるのが、「人間ドックをはじめとした予防医療には保険が適用されない」という現実だろう。

 では、保険診療の壁の向こうにある自由診療の領域では、何ができるのだろうか。

『ならば、病人をつくらなければいい!』という理念のもと、世界最先端の予防医療を目指す健康院クリニックを訪ね、同院理事で、工学博士の重松典宏氏に話を聞いた。