タクシーを「困ったときの移動手段」から、「日常的に気軽に利用できる乗り物」に変えたい。kmグループ国際自動車のさまざまな取り組みの狙いは、その1点にある。では、それを実現するために必要とされることとは何か。百貨店、病院、ホテル、医療団体。国際自動車の提携事業の中から4事例をリポートし、「サービス業としてのタクシー」の本質を明らかにしていく。

困ったときの交通手段から
日常的な移動の手段へ

 他に移動手段がないときに利用する交通手段──。それが、従来のタクシーに対する一般的なイメージだった。急いでいるとき、雨が降っているとき、荷物が多いとき、終電がなくなったときに、いわば「やむを得ず」使う移動方法が、タクシーという乗り物であったと言っていい。

 そのイメージを大きく変えようとしているのが「km」のブランドで知られる国際自動車である。国際自動車のビジョンをひと言で言えば、「タクシーを日常の、ごく当たり前の生活移動手段としてもらうこと」である。そのビジョンの背景には、人々のニーズの多様化がある。

 例えば東京では、この数年、高齢化によって年配のタクシー利用客が増え、一方ではグローバル化によって外国人の利用客も増えている。高齢者がタクシーに求めるものと、外国人がタクシーに求めるものはおのずと異なるだろう。

 そうした多様化に対応し、気軽で生活に根差した快適な乗り物に変えていくこと。それが、国際自動車の狙いだ。

 では、その「多様性への対応」は具体的にどのように行われているのだろうか。

 4つの事例を見ながら、国際自動車が現在進めている取り組みの内容と意義を探ってみたい。