英語学習本は古くから売れ続けているジャンルで、少し大きい書店に行けば必ずコーナーが設置されています。日本人にとって英語は、長年突きつけられたままの課題。ビジネスマンにとっては、どんな職種であっても英語が使えるか使えないかがキャリアを分ける場合もあります。「勉強を始めたい」「取りかかったけれど挫折した」という人も多いのではないでしょうか。
今回紹介する1冊は、「仕事で使う」ための英語学習本。しかも、著者は31歳で外資系企業に転職、そこから自力で英語を身につけ、誰もが知る世界最大手のIT企業のトップにまで上りつめた…という経歴の持ち主。実践的な内容でベストセラーになった『村上式シンプル英語勉強法』です。

「英語は2台目の自転車と同じ」「語学ではなく語力」
31歳から英語を始め、世界最大手IT企業のトップへ

31歳から始めて世界的に有名なIT企業のトップに!<br />最強の「使える英語」勉強術村上憲郎著『村上式シンプル英語勉強法』
2008年7月刊行。「村上憲郎さんの親しみやすい人柄が伝わるよう、本人の写真は入れたいと考えました。撮影はオフィスで行いましたが、グーグルのイメージをできるだけ出すために椅子やバランスボールなどと一緒に撮影。カバーの色から雰囲気を出しました」(担当編集者)。ちなみに、グーグルカラーのもうひとつ、緑色は帯に使われています。

 米グーグル副社長兼日本法人社長(当時)の村上憲郎さんが『村上式シンプル英語勉強法――使える英語を、本気で身につける』を著したのは2008年7月。インターネットが日常生活に必須のものとなり、グーグルを知らない人はほとんどいないという状況でしたが、その日本法人の社長で、かつ米国本社の幹部を務める人が村上さんだということは、それほど知られていなかったようです。

 村上さんは、1947年大分生まれで、大学卒業後、国内電機メーカーのエンジニアとして勤務。人生が変わり始めたのは、31歳で外資系コンピュータ企業の営業職に転職してから。転職後の研修旅行が初めての海外旅行と、まさに「ドメスティック」な環境に身を置いていたわけです。
米グーグル副社長兼日本法人社長が、帰国子女でも留学経験もなく、30歳まで英語が話せなかったというのはそれだけで驚きです。

 31歳で日本企業から外資系へ、さらには技術職から営業職へのキャリアチェンジ。この転職自体、「新しい世界で視野をもっと広げたい」という思いからでしたが、ここで大きな壁にぶち当たります。
それが英語でした。このままでは仕事にならないとの危機感から様々な勉強法を試し、そこから編み出されたのが本書で紹介する「シンプル勉強法」でした。

 村上さんの英語に対する考え方は、至ってシンプルです。

 私は、「英語は学問じゃない」と思っています。
 英語なんてせいぜい2台目の自転車乗りこなし術です。それ以上でも以下でもありません。(中略)
 英語の勉強は自転車に乗る練習と同じ。鍛えるのは、英語を使いこなすための筋力であり、知力ではありません。英語は語学ではなく”語力”なんです。
 英語は自転車。グローバル社会を走り回るための手段であり、道具です。(13〜14ページ)