企業改革に伴う抵抗や落とし穴などの生々しい実態をリアルに描いたビジネス小説『戦略参謀――経営プロフェッショナルの教科書』。連載の最終回では、第1章の解説パートの後半をご紹介致します。

第2、第3の成長には、参謀機能が求められる

 第2、第3の成長の実現を果たすために行うべきは、最初のS字曲線の成長を描いた際と同じです。

 ただし、大きな違いは事業規模と組織が大きくなっていること、そして、一度成功体験を持った幹部が増え、その中には、多かれ少なかれ「幼稚なプライド」を持った社員が含まれるということです。

 会社によってはこの時期を、全てを創業者が決定する完全集中型のマネジメント体制を再度とることで乗り越えようとする場合があります。

 しかし、残念ながらこれはなかなかうまくいきません。

 かつて日本最大の小売業チェーンとなったダイエーグループをつくった中内㓛氏も、V字改革の半ばで自身が最前線に返り咲きましたが、あの規模まで大きくなった事業体を、かつてのやり方で回復させることはできませんでした。