法人営業の会社がリピート客を効率よく獲得する方法。それが「雨ざらし市場」と「クジラ市場」の2つの空白マーケットを攻略すること。船井総研の売れっ子コンサルタントがそのノウハウを伝授します。第5回は、ガードの堅い大企業を攻略するための「価値の訴求」とは?

業績アップの最短距離が大企業との取引

 これまでは、2つの空白マーケットのうちの1つ「雨ざらし市場」について述べてきました。そして、法人営業にはもう1つの空白マーケットがあります。それが「クジラ市場」、すなわち大企業マーケットです。

 はっきり言って、中小企業が最短距離で業績を上げようと思えば、大企業と取引するのが一番の近道です。大企業には中小企業にはないようなブランド力があり、商品力があり、販路があります。すなわち、取引の量が格段に大きくなる可能性を秘めているのです。

 この連載の第3回で述べたように、大企業との取引は「クジラ」を仕留めるようなものです。ハーマン・メルヴィルの小説『白鯨』ではありませんが、捕鯨船の船長がクジラに挑みかかっている光景を想像してみてください。

 まずはクジラがいそうな大海原に繰り出し、小さな捕鯨船で巨大なクジラを追い込んでいきます。そしてタイミングを見て、急所をめがけてモリを打ち込み、仕留めるのです。

 大きなクジラを1頭仕留めることができれば、当分は食うに困ることはありません。普通の魚だと1回分の食事にしかなりませんが、クジラであれば数週間は食いつなぐことができるでしょう。

 大企業との取引も同じことです。

 大企業と取引する最大のメリットは、その「購買の継続性」にあります。すでに説明したように、法人相手の商売は消費者相手に比べて購買の継続性が高いことが特徴です。その中でも大企業は、中小企業と比較して格段に購買の継続性が高いのです。

 その結果、売上ボリュームも増えます。だからこそ、大企業を狙うのがよいのです。

クジラを仕留めるのに必要な技術とは?

 もちろん、クジラを仕留めるには、それなりの技術が必要です。

 まず広い海の中で、クジラがどこに出没するのかを知っておかなければなりません。さらには、相手よりもずっと小さな船でクジラを追い込む技術、急所にモリを打ち込む技術も必要です。モリを打ち込む場所が悪いと、クジラに暴れられて、逆にこちらが大きな損害を受けるかもしれません。