前回、『接遇力』とは何か、またそれと向き合う企業の姿勢について述べた。連載の第2回目である今回は、接遇と売り上げの関係を中心に、企業が接遇力を高める必要性について考えていきたい。

 現在のように、人々がモノを欲しがらない時代では、顧客と接するその現場において、顧客の満足をいかに高めることができるかが、他社との差別化を図る上で重要なことは言うまでもない。

 モアグロウの代表取締役であり、企業向けに接遇力を高める研修を行う浜田純子氏は言う。

浜田純子 モアグロウ 代表浜田純子
モアグロウ 代表

「企業経営者は、低成長時代をどのように乗り越えたらいいのかと頭を悩ませています。とりわけ国内需要への依存度が大きい、飲食店やホテルといったサービス業、あるいはスーパーマーケットなど小売業の経営者の方々は非常に強い危機感を持っています。例えば、飲食業調査の結果を見ても『店舗売上高』は、2011年以降、前年度に比べ減少傾向にあります」

 浜田氏は、低成長時代のサービス産業に求められるのは、今、確保している利益を次年度以降も手堅く維持し、その上にさらに少しずつ確実な利益を積み重ねていくことだと言う。

「大きな設備投資や広告宣伝が難しい中小企業のサービス業にとって、一度でも接する機会が生まれたお客さまを、確実にファンにしていくという姿勢が重要です。その点において最も重要な資産は『社員一人ひとりのお客さまへの応対のあり方』です。日々、お客さまとじかに顔を合わせて商品あるいはサービスを提供することが、仕事の根本になっている企業は、これを顧客維持もしくは、顧客獲得の戦略を考える際の土台に置く必要があります」

 例えば、外食産業。その店でしか食べられない特別なメニューがあれば、人々は足を運ぶだろう。しかしながら、人々が飛び付くような魅力的なメニューを出し続けるのは困難だ。