ビッグデータの活用が叫ばれる中、多くの企業がシステムに投資して高度な解析力を備え始めている。ところが、データに整合性がなかったり標準化されてなかったりするために、またシステムが縦割りであるがゆえにデータを収集・分析できる範囲が限定され、経営の打ち手を制限するという事態に頭を抱える企業は多い。経営判断のスピードを低下させ、選択肢を狭めてしまう、こうした課題を解決するにはどうすればいいのだろうか。

データ品質の低さが
経営判断のスピードを遅らせる

 高度な分析システムを利用し、どんなにビッグデータを有効活用したくても、社内外に散在するあらゆるデータを連携・統合することができなければ、正確なデータを得ることはできません。

久國 淳(ひさくに・あつし)
インフォマティカ・ジャパン
セールスコンサルティング部
ソリューションアーキテクト

 例えば、企業が顧客ごとの売上の集計を見たいとしましょう。経営者は「すぐに集計できるだろう」と考えがちですが、実は経営企画部門などが多くの時間をかけてデータを収集、加工し、レポートを手作業で作成しているケースが多いのです。

 なぜ、それほど時間がかかるのでしょうか。

 これは、会社名の重複などによる社名データの整合性の問題、いわゆる名寄せができていないことが一因となりえます。本社営業部門と顧客の本社購買部門との大口取引もあれば、支店が顧客の工場などの拠点に販売することもあります。同一の顧客でも、前者を「株式会社A社」、後者を「A社横浜工場」と入力した場合、システムは同じ顧客として認識してくれません。「株式会社A社」と「(株)A社」でも同様です。結果、担当者は品質の悪いデータと格闘し、手作業でデータの補正を強いられることになるのです。

 経営者にとって、「自社の売上の中で、どの顧客がどの程度の割合を占めているか」を知ることはきわめて重要です。こうした基礎的情報が「見える化」されていない企業は、かなり多いのではないでしょうか。

 対サプライヤーでも同じことが言えます。一定規模以上の企業になると、「どのサプライヤーから、何を、どの程度仕入れているか」を正確に把握することは困難になります。特にグローバル展開する企業は、世界各地の現地法人のサプライヤーごとの発注状況が可視化されていなければ、集中購買による価格交渉などの打ち手も制限されてしまいます。

 こうした経営上の課題の根底にあるのが、社内外に混在する、さまざまな形式のデータ連携の欠落、および低品質なデータの存在です。それが、経営判断の選択肢を狭め、スピード低下の一因となっていることは間違いありません。

 企業が取り扱うデータ資源は、自社内の業務システムにとどまらず、社外の取引先システムやクラウドサービス、ソーシャルメディア、マシンデバイスなど多岐に渡ります。

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