白木夏子さんが自身のメンターと仰ぐ、「ひふみ投信」を運用するレオス・キャピタルワークスの藤野英人氏。投資家である藤野氏と起業家である白木さんが、「他人と自分との関係」から「資本主義社会の中でのあり方」までじっくり語り合いました。『自分のために生きる勇気』発行記念対談前編。

自分の正義を信じると、<br />「勝つ」ことではなく、「選ばれる」ことが目的になる<br />――白木夏子×藤野英人特別対談前編

不思議な縁から始まったメンターと弟子の関係

白木 私にとって藤野さんはメンターであり、神様のような存在です。だから、今日の対談をずっと楽しみにしていました。

藤野 神様なんて、そんな(笑)。

白木 いえ、本当にそうなんです。いつも温かくお話を聞いてくださって、道しるべになってくださるので。初めてご縁があったのは、私が前職の不動産投資会社に新卒として入社したときですよね。

藤野 僕がその投資会社の監査役をしていたんですよね。と言っても、当時はお互い、認識はしていなかったけれど。

白木 ええ、きちんとご挨拶できたのは2011年のJapan Venture Awardsのときでした。藤野さんがファシリテーター、私がパネラーの立場で参加していて。どこかでお名前を拝見したことがあるなあと思っていたのですが、その後お話して「ああ、前職の監査役の方だ!」と気づき、とても驚きました。

藤野 そうそう、他にも、誕生日が一緒だったり、名古屋で青春時代を過ごしていたりといろいろな共通点もあって(笑)、不思議な縁を感じたのを覚えています。

白木 そこから藤野さんには経営のことはもちろん、これからの人生についてもたくさん相談に乗っていただきました。今のHASUNAがあるのは藤野さんのお陰です。じつは、今回出版したこの『自分のために生きる勇気』にも、藤野さんのことを想像しながら書いた箇所があるんですよ。

藤野 え、僕のこと?

白木 はい。自分を前に進ませるために自分の中で勝手に「チーム白木」をつくる、という話を書いたんですが。

藤野 「チーム白木」。ああ、なるほど。

白木 何かを成し遂げたいとき、自分を鼓舞してくれる人、冷静な目で厳しいことを言ってくれる人、一緒に頑張る人などを勝手にチーム編成してしまうんです。そうすることで、自分に欠けている部分を補ってもらえるという。

藤野 いいですね。あ、それで、僕もチーム白木の一員になっている?

白木 そうなんです。本の中で「いつも自分の背中を押してくれる人」がひとりいると心強いと書いたのですが、私の中で、それが藤野さんで。勝手に「チーム白木」に入れさせていただいているんです。心が折れそうになったときは、いつも藤野さんが応援してくださったことを思い出してモチベーションを保っていました。

藤野 白木さんとは本当にいろいろなお話をしてきましたね。人生から会社のビジョン、経営面の具体的な実務まで、ときには白木さんの旦那さんを交えたりして(笑)。そうそう、愚痴というわけではないけれど、困ったことや嫌なことがあったときに「ちょっと話聞いて!」と言える相手、つまりちゃんと信頼して頼れる相手がいるのは、小さいことに見えて本当に大切なことなんですよ。

白木 私にとってはそれが藤野さんですが……なぜ頼る相手がいることが大切なのでしょうか?