緊急事態発生時のコメントについては、マスコミや世論は非常に神経質に反応します。普段は許されるような言葉が、緊急時ではひんしゅくを買う言葉になってしまうことがあるので注意しましょう。

 ここでは、絶対言ってはいけないNGワードを挙げておきます。もちろん、使い方によってはNGワードにならないこともあります。多くの場合、次のNGワードを言った途端に、マスコミと世論は敵に回ってしまうと考えてください。

●NGワード[その1]

「知らなかった、部下がやった」

 トップが知らないことはよくあることです。しかしたとえ事実であっても、この言葉を最初に使うと、責任逃れのように聞こえてしまうのです。「知らなかった」と言いたいところをぐっと我慢して、「監督が行き届きませんでした」と言いましょう。あるいは「私が知ったのは○○です。すぐに私の耳に入るような社内体制を築いてこなかったことに責任を感じます」とするとよいでしょう。

●NGワード[その2]

「法的には問題がない、法律は守っている」

 記者会見場は裁判所ではありません。マスコミや世論が求めているのは、法律を守っていたかどうか、ではありません。法律を守っているのは当たり前の話です。

 むしろ、企業として事件・事故を防ぐために、どれだけ事前の努力をしていたのか、ということが聞きたいのです。

 ある意味で法律というのは、「社会規範を保つための最低基準」を示しているにすぎないのではないでしょうか。企業に求められているのは、法律で定められている以上の、自発的な努力です。