交渉の本場・ニューヨークで活躍する日本人弁護士は、世界の敏腕弁護士とどう渡り合っているのか。ニューヨーク州弁護士の大橋氏が自ら実践している「交渉の絶対セオリー」を紹介する。第2回は、交渉で最も大切な「譲歩のやり方」について。

少し図々しいくらいのオファーを
堂々と提示すること

 自分の希望をストレートに伝えるだけでは、交渉はうまくいかない。

 交渉とは、譲歩を繰り返しながら、お互いに満足できる着地点を探るプロセスだ。そうであれば、いかなる交渉も「譲歩の余地」をあらかじめ取っておかなければならない。

 たとえば、5万円の商品を最終的に4万円に値切りたいとき。

 あなたが最初から「4万円にしてほしい」と正直に伝えたとしたら、相手はどう反応するだろうか。相手は「実際にはもっと高く出せるだろう」と考える。そして、もっと高い値段で買ってほしいと、あなたに譲歩を迫ってくるはず。

 しかし、あなたの希望は本当に4万円だから、1円たりとも譲れない。そんなあなたの態度を見て、相手は「なぜ自分だけが譲歩しなくてはならないんだ」と不満を感じ、交渉は暗礁に乗り上げてしまう。

 相手との交渉をまとめるためには、譲歩の余地を取っておくこと。