40万部のベストセラー『財務3表一体理解法』の著者・國貞克則氏が、一流のビジネスパーソンになるための会計知識をストーリー形式でご紹介するウェブ連載の第2回目。設計部時代の上司・石田から会計の重要性について教わった高橋は、会計の勉強をしようと決意し、さっそく石田からレクチャーを受けることに…。今回は「財務会計の全体像」をやさしくご説明します。

すべての企業に共通する
3つの活動とは

 高橋は一人会社の会議室から外の景色を眺めていた。外はもう暗くなっていたが、どのビルの窓にもあかりがついていた。午後7時を過ぎたころだから、当然ながらどこの会社でもまだ多くの人が働いていた。

「スマン、スマン、遅れて」

 石田が勢いよくドアを開けて入ってきた。

「こちらこそ、お忙しいところスミマセン。僕もいま来たところです」

 高橋は今日、石田から会計の基本について教えてもらうことになっていた。

「今日はお忙しい中、僕のためにお時間を割いていただいてありがとうございます。せっかくの機会ですから、もっとたくさんの人に来てもらったほうが良かったんじゃないですか?営業部にも会計の勉強をしたいと思っている人はたくさんいるはずです」

「高橋君への個人レッスンにしたのはわけがあるんだ。今日の話を聞いて、次は高橋君が先生になって、営業部のみんなに会計を教えてもらいたいんだ」

「え?僕がですか?」

「そうだ」

 石田はキッパリと言った。

「何かを理解しようと思えば、人に教えるのが一番効果的なんだ。教える人が一番勉強することになるからな」

 石田はいつもためになることを言ってくれる。

「はぁ、わかりました」

 石田にはなぜか逆らえない。石田がいつも自分のことを考えてくれていると感じるからかもしれない。

「それじゃ、早速始めよう」

 石田はそう言って、シャツの腕をまくりあげながらホワイトボードの前に立った。

「財務諸表の細かい説明をする前に、まずは全体像を理解してもらおう。何ごともまずは全体像の理解が大切だからな」

「ハイ」